「別居時」に関する離婚事例・判例
「別居時」に関する事例:「夫の威圧的な態度で夫婦間に亀裂が生じたことによる、結婚生活の破綻」
「別居時」に関する事例:「長期間別居している夫婦につき、離婚請求が認められなかった判例」
キーポイント | 離婚が認められるためには、結婚生活をこれ以上継続することが出来ない重大な事由が当事者の間になければなりません。 当判例は、離婚を認めるにあたり、長期間別居をしている点とそれまでの結婚生活が完全に破綻していたかどうかの判断が、キーポイントとなっています。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは、妻(原告)であり、裁判を起こされたのは、その夫(被告)です。 1 結婚 当事件の当事者である妻は、夫と昭和57年6月24日に婚姻の届出をし、夫婦となりました。 妻と夫との間には、昭和58年に長女の花子(仮名)が誕生しています。 2 妻の別居 夫は妻に対し、昭和57年から平成14年までに日常的に怒鳴ったり、物を投げつけたりするなど、威圧的な態度を取ることがありました。 妻は、これに怯えながら生活をし、また自殺をしようとまで考え、日常生活の中で夫と会話をすることがほとんどありませんでした。 そして妻は、平成14年8月に夫との同居は無理と考え、自宅を出て夫と別居をし始めました。 3 再び妻の別居 夫は、妻に謝罪をし、平成14年9月から再び妻と同居をし始めました。 ところが妻は、同年10月12日に夫が当時大学生だった花子に粗暴なしつけをしているのに怯え、同年同月18日に再び自宅を出て別居し、現在に至っています。 4 妻が当判例の裁判を起こす 妻は、平成14年11月22日に東京家庭裁判所に離婚調停の申し立てをしましたが、平成15年2月25日に不成立に終わりました。 これを受けて、妻は平成15年5月26日に当裁判を起こしました。 |
判例要約 | 1 離婚は認められない 裁判所は、妻が夫の短気により怒鳴られることに精神的苦痛があったとしても、それにより妻が日常的に怯えて会話が出来ないほど結婚生活が破綻していたとは言えないとしています。 また、妻の主張や供述の信憑性に乏しいこともあり、離婚の請求を認めていません。 2 親権者の指定、財産分与について 裁判所は、離婚が認められない以上、親権者の指定や財産分与について判断をする必要がないとして、それぞれ却下しています。 |
原文 | 主 文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 【請求】 第1 原告と被告とを離婚する。 第2 原,被告間の未成年の子である長女A(昭和58年○○月○○日生)の親権者を被告と定める。 第3 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の建物の共有持分10分の9について財産分与を原因とする共有持分権移転登記手続をせよ。 第4 被告は,原告に対し,金800万円を支払え。 【事案の概要】 原告と被告は,昭和57年6月24日に婚姻し,平成14年10月18日から現在まで別居している夫婦である(なお,両者間には,昭和58年○○月○○日に生まれた長女Aがいるが,同人は既に成人している。)ところ,本件は,原告が,被告に対し,民法770条1項5号の離婚原因の存在を主張して離婚を求め,併せて,財産分与として【請求】第3及び第4の給付を求めた事案である。 第1 争点 1 原,被告間の婚姻関係を継続し難い重大な事由の有無(民法770条1項5号)。 (原告の主張) 次の事実からすれば,原,被告間の婚姻関係を継続し難い重大な事由があるといえ,婚姻関係は完全に破綻している。 (1)被告は,婚姻当初である昭和57年から別居直前である平成14年10月12日までの間,日常的に,ごく些細なことで原告を大声で怒鳴ったり,罵倒したり,暴行を加えるような仕草を示したり,物を投げつけたり,わざとドアを強く閉めたり,自宅内でことさら大きな足音をさせて歩いたりし,さらに,そのようなことがあった後1週間くらいは原告が話しかけても無視し続けて,原告に大きな精神的打撃及び苦痛を被らせた。このため,原告は,いつも被告を怒らせてはいけないと思って極度に緊張し,びくびくしながら生活しており,自殺をしようと思い詰めたこともあり,日常生活の中で被告と話をする機会はほとんどなかった。平成7年ころ,原告は,とにかく怒らないでほしい等と被告に手紙を書いて被告の言動を改善するよう求めたが,被告はこれに対しても怒鳴り,態度を改めることはなかった。 そして,平成14年8月ころ,原告が自宅で菓子作りをしていた際,被告がその手伝いを申し出て,勝手に手伝いを始め,原告が被告のやり方を見て,「あ。」と声を出したところ,被告は,突然,大声で怒鳴って菓子を放り出し,今にも原告に殴りかかってくるような様子を示したため,原告は,被告から暴行を加えられるのではないかと恐怖を覚え,被告との同居はもはや不可能と判断して,自宅を出て被告と別居した。 上記別居後,被告が,原告に謝罪し,二度と怒らないことを約束したので,原告は,平成14年9月から再び実家に戻って被告と同居し,しばらくの間は被告は原告を怒鳴ることを差し控えていたのであるが,平成14年10月12日,原告の実母であるB(以下「B」という。)が原告の自宅に来ていた時,Bが,原告と被告に対し,当時,大学進学のためにB宅に下宿させていたAについて,Bが服装を注意しても従わないなどと述べてAのしつけをしっかりするよう注意すると,被告は,B宅から帰って来て,たまたまそこで寝ていたAの頬を1,2回強く平手打ちし,Bから,この態度を批判されると,突然大声で,「畜生。いったい,どうなっているんだ。Aはおれの子なんだ。」と怒鳴り,地団駄を踏み,自分で,「怒らない。優しくする。」と書いて壁に貼っていた貼り紙を引きはがして破り棄て,Aの厚底ブーツをゴミ箱に投棄した上,「やられたら,やり返すのが俺のやり方だ。 さらに詳しくみる:突然大声で,「畜生。いったい,どうなって・・・ |
関連キーワード | 離婚,親権,財産分与,しつけ,離婚調停 |
原告側の請求内容 | ①夫との離婚 ②長女の親権者を妻とする指定 ③財産分与 |
勝訴・敗訴 | 全面敗訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成15年(タ)第410号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「夫の威圧的な態度で夫婦間に亀裂が生じたことによる、結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判は夫(原告)がその妻(被告)に対して離婚を求め、それに対して妻が夫に離婚を求めたとともに、離婚に伴う財産分与と慰謝料を求めたものです。 1夫婦の職業 夫は精神科の医師をしており、現在は開業をしています。妻は客室乗務員として働いています。 2夫と妻の出会い 夫と妻は平成6年11月に知り合い、平成7年2月ころに交際を始めました。平成10年5月ころ、結婚を前提に将来自宅を持つことを話し合い、二人で住居を探し始めました。 3夫の浮気疑惑… 夫は平成12年ころから同僚の佐藤(仮名)に対して恋愛感情を抱いている趣旨のメールを複数送り、佐藤からもそれに応じるかのような趣旨のメールが送られるなどのやりとりが始まりました。 4夫と妻の結婚 夫と妻は平成12年8月4日に婚姻の届け出をして夫婦になりました。 5浮気相手の転居 佐藤は平成13年3月末ころ、福岡県北九州市に転居しました。そのころから夫は妻に内緒で福岡に渡航するようになりました。しかし、表面上は円満な関係が保たれていました。 6妻が夫に子供が欲しいと告げる・・・ 夫と妻は結婚後、一つのベットで寝ていましたが、夫が性交渉を拒絶するようになり、平成14年の秋以降は全く性交渉を行わなくなっていました。 妻は出産の関係上年齢の問題があったため、子供が欲しいと夫に話しました。 しかし、夫はあいまいな返事をして逃げてしまい、真剣に取り合いませんでした。 7夫の一方的な態度、妻は病気に… 平成15年4月、夫は突然一方的に妻に離婚を迫りました。連日のように離婚を口にするようになり、次第に「離婚しないと裁判する」、などと迫るとともに、妻に対して「お前は痴呆だ」「お前を人格障害の患者としてしか見ない」など異常とも思える発言を繰り返し、その結果妻は急性胃炎と仮面うつ病になってしまいました。 8妻が調停を起こす 妻は平成15年8月7日東京家庭裁判所に対して、婚姻費用の分担を求める調停を起こしました。婚姻費用とは夫婦が生活を行っていく上で必要なお金のことです。裁判所は平成17年1月28日に夫に対して平成15年8月以降の婚姻費用として月額12万円の支払いを命じる判断を出しました。そして、夫は妻に対して、平成15年3月分までの婚姻費用を支払いました。 9夫が妻を相手に裁判を起こす 夫は平成15年8月13日に離婚調停を行いましたが、話し合いが整わなかったため、夫は平成15年12月2日に夫と妻との離婚を求める裁判を起こしました。 10平成18年9月26日、妻が夫に対して裁判を起こす 妻の請求①:夫との離婚 妻は執拗に離婚を求める夫の態度や、夫と佐藤との関係に疑惑を抱き、離婚を求めました。 妻の請求②:財産を分け与えよ 裁判所より夫に対して婚姻費用の支払いの命令が下る平成15年8月以前の未払いの婚姻費用について妻は夫に支払いを求めました。そして、夫との預金や夫が医師免許、博士号などの資格を取得したことは2人の財産と言えると主張し、自分もその財産の分配を受けるべきだと主張しました。 妻の請求③:慰謝料を払え 夫は妻に離婚を同意させるため、さまざまな言葉の暴力による虐待を加えました。そして、精神的な苦痛を妻に与えました。また、浮気と疑われる夫と佐藤との関係により、精神的にも肉体的にも苦痛を被ったとして夫に対して慰謝料を請求しました。 |
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判例要約 | ・夫の請求に対する裁判所の判断 1夫と妻の離婚を認める。 すでに両者の結婚生活は破綻しており、また、上記の事例により、両当事者とも結婚生活の破綻を認めているので、裁判所は両当事者の離婚を認めるという判断をしています。 ・妻の請求に対する裁判所の判断 1夫と妻の離婚を認める。 2財産分与は認めない。 夫と妻の間に、財産であると認められる証拠のある財産がないため、妻の請求は認めないと裁判所は判断しています。 2妻の求めた慰謝料請求を認める 妻は夫が佐藤と浮気をしていたと主張しています。夫は佐藤に恋愛感情を抱いていた時期があることは認められますが浮気をしていたという事実を認めることはできないというのが裁判所の判断です。 しかし、夫は突然一方的に離婚を言い出し、妻に対し異常とも思える発言を執拗に繰り返しました。その結果、妻は急性胃炎と仮面うつ病の疑いとの診断を受けるまでに至りました。また夫は「妻と同居をすれば新聞沙汰になるようなことが起きるかもしれない」といった脅迫的な発言もしています。 夫と妻の婚姻関係が破綻した理由はすべて夫にあるといえるため、夫は慰謝料を払わなければならないというのが裁判所の判断です。 |
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