「原告に対する暴力」に関する離婚事例・判例
「原告に対する暴力」に関する事例:「韓国人夫婦の結婚生活の破綻」
「原告に対する暴力」に関する事例:「服役中の夫の暴力が原因として韓国人夫婦の離婚が認められた判例」
キーポイント | この夫婦は韓国籍のため、大韓民国国民法840条の6号では結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由がある場合、離婚が認められます。 よって、そのような重大な理由があるかどうかが問題となります。 |
---|---|
事例要約 | この裁判は妻(原告)が夫(被告)に対して起こした裁判です。 1 結婚 妻と夫は二人とも韓国籍です。二人は友人の紹介によって、昭和57年ころから交際を始め、昭和61年11月12日に結婚しました。 二人の間には、長男・二男・長女の3人がいます。 2 夫の暴力 夫は結婚直後から些細なことですぐに腹をたてては暴言を吐いたり、足腰をける、顔面を殴るなどの暴力を振いました。 夫は10年ほど前に事業に失敗して多額の借金を抱えてから、精神的に不安になって妻に対する暴力や暴言も酷くなっていきました。 3 夫の逮捕 夫は平成11年に覚せい剤所持と使用の罪で逮捕されました。 妻は立ち直ってくれると信じていましたが、執行猶予期間中にまた逮捕され、平成13年4月に懲役4年3月の実刑判決をうけました。 4 手紙 夫は長野刑務所に服役中で、妻に対する手紙にも暴言を書き連ねるなどの問題行動がみられており、 平成14年3月、離婚をしたかった妻は、あたかも他に男性がいるかのように手紙をかき、離婚を求めました。 夫は両親に助けを求めたりしましたが、妻の意思は堅く、決意の手紙を妻は送りました。 5 裁判 妻は平成14年9月27日離婚を求めて当判例の裁判を起こしました。 |
判例要約 | 1 妻の離婚の請求を認める 妻が夫に手紙で離婚を求めた平成14年3月には、結婚生活は完全に終わっていると認められ、 大韓民国国民法840条6号の、結婚を継続しがたい重大な理由があると認められます。 刑務所にいる夫にあてた妻の手紙は、夫と別れたいがための嘘で、妻は離婚の原因を作ってはいないとして、妻の離婚の請求が認められました。 また、3人の子供の親権は妻にあるとされました。 |
原文 | 主 文 1 原告と被告とを離婚する。 2 原被告間の長男A(昭和62年○月○○日生),二男B(平成元年○月○○日生)及び長女C(平成3年○月○日生)の親権者をいずれも原告と定める。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文と同旨 第2 事案の概要 原告と被告は,いずれも韓国籍であるが,昭和61年11月12日に婚姻の届出をした夫婦であり,両者の間には,長男A(昭和62年○月○○日生),二男B(平成元年○月○○日生)及び長女C(平成3年○月○日生)の3人の子がいる。 原告は,離婚原因として,被告が,(1)原告に対してしばしば暴力を振るい,(2)暴言を吐き,(3)現在,覚せい剤使用罪により刑務所に服役中であることなどから,大韓民国民法840条6号に該当する事由が存在すると主張して,原告と被告とを離婚すること,両者の間の3人の子の親権者をいずれも原告と定めることを求めた。 これに対して,被告は,原告が離婚を請求しているのは,原告に愛人ができたからであり,有責配偶者からの離婚請求であるため認められないと主張している。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1,3,4の1,5の1,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (1)原告と被告とは,友人の紹介により知り合い,昭和57年ころより交際を始め,昭和61年11月12日に婚姻した。 (2)被告は,結婚直後から些細なことですぐに立腹し,原告に対して,「お前なんか死んでしまえ」とか「この家から出て行け」などと暴言を吐いたり,足腰を蹴る,顔面を殴るなどの暴力を振るうようになった。また,被告は,ガラスのはめこまれたテーブルをひっくり返してガラスを割ったり,平成4年ころには,原告の左耳の横を思いきり殴り,鼓膜が破れたこともあった。 被告は,10年ほど前に事業に失敗し巨額の借金を抱えると,精神的に不安定になり,原告に対する暴力や暴言も一層ひどくなった。そのため,原告は,被告を怒らせてはいけないと,被告の顔色をうかがって生活をしなければならなかった。 (3)被告は,平成11年に覚せい剤所持罪及び同使用罪で初めて逮捕され,執行猶予付きの判決を受けたが,原告はこの時は立ち直ってくれることを期待していた。 しかし,被告は,この執行猶予期間中に再度覚せい剤使用罪で逮捕され,平成13年4月9日に懲役4年3月の実刑判決を受けた。 (4)現在,被告は長野刑務所に服役中であるが,取調べのため独房に入れられるなどの問題行動がみられ,また,原告の行動が気にくわないと手紙に原告に対する暴言を書き連ねるなどすることから,原告は,被告の不安定な性格に疲れ果て,離婚を考えるようになった。そして,原告は,被告からの手紙に「他に良い男性が現れたら気持ちよく離婚する」旨の記載があったことから,他に好きな人ができたと言えば被告が離婚に応じてくれるものと思い,平成14年3月20日ころ,被告に対して,他に男性がいるかのような手紙を書き,離婚を求めた。 (5)上記手紙を受け取った被告は,驚いて自分の両親にこのことを手紙に書き送り,両親から原告に対し翻意を促してもらうことを期待した。ところが,被告の両親からこのことを伝え聞いた原告は,夫婦間のことを何でも親に話してしまう被告に愛想をつかし,もうこれ以上夫婦でいることはできないと堅く離婚を決意し,平成14年4月15日ころ,被告に対し,その旨を記した手紙を送 さらに詳しくみる:にこのことを手紙に書き送り,両親から原告・・・ |
関連キーワード | 離婚,浮気,家庭内暴力,暴力,親権,有責配偶者, |
原告側の請求内容 | ①夫と離婚すること ②子供達の親権者を妻とすること |
勝訴・敗訴 | 全面勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成14年(タ)第717号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「韓国人夫婦の結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判を起こしたのは、妻(原告)であり、裁判を起こされたのは、夫(被告)です。 1 結婚 妻(昭和49年生)と夫(昭和39年生)は、当時勤務していたD株式会社において社内恋愛の末に平成9年4月11日結婚しました。 2 妻の夫への不信感、嫌悪感がうまれる 夫は押し入れの中に100本位のアダルトビデオを所有していて、結婚前に関係を持った風俗関係の女性についての性的なデータをパソコン上に集積していました。妻は結婚後にこの事実を知り、夫に対する不信感、嫌悪感等を持つようになりました。 3 妻と同僚の吉田(仮名)の出会い 妻は平成10年1月ころ、D株式会社を辞めて株式会社B研究所に入社し、ここで同僚である吉田(仮名)と知り合いました。 4 妻の吉田への恋愛感情が芽生える 妻は平成10年11月ころ、妊娠したことに気づき夫に報告したところ、自分たちの関係は明日にでもどうなるか分からないから堕ろしてほしいと言われショックを受けて過呼吸になりました。妻は中絶するかどうか等について悩み、吉田に相談したり、自宅を出て1週間程ウィークリーマンションを借りて一人で考えたりしました。このような中で妻は吉田に対して次第に恋愛感情を抱くようになりました。 5 夫が妻と吉田の関係を怪しむ 夫は、妻の周辺を調査しその結果、妻が吉田と交際していることを突き止めました。夫は平成10年12月30日ころ、妻に対し、今後吉田とは会わないこと、連絡をしないことを要求し、妻はしばらく沈黙した後に承諾しました。なお、妻は吉田とは性的関係はありません。 6 夫の性癖 妻と夫は夫婦関係を改善していこうと考え、平成11年5月21日伊東温泉に一泊旅行に出かけました。その際、夫は旅館の周囲を散歩中、公道上から女性の露天風呂を覗き見て、そのときの状況や心情等を日記帳に書き留めました。 7 妻の出産と夫の日記帳を発見する 妻は平成11年7月8日長女の花子(仮名)を出産し、1カ月ほど実家で過ごした後に自宅に戻りました。夫が口を利かなったことや毎晩遅く帰宅し、週末も黙って出かけてしまうこと等から不信に思った妻は、平成11年8月ころに夫の日記帳を見ました。すると、夫が夜中にアダルトビデオを見ていたり、夜や週末にパチンコに行っていたこと、さらに伊東温泉へ旅行に行った際に女性の露天風呂を覗き見ていたことが判明しました。 8 夫のうつ病 夫は平成10年10月ころから軽いうつ状態があったことからメンタルクリニックに通院し、睡眠薬や精神安定剤の処方を受けていましたが、平成11年冬ころからD株式会社を休みがちになり、夕方ころまで寝ていることが多くなりました。さらに平成12年1月ころからはほとんど出社しないようになり、1日中寝てばかりいるようになったため、妻が不安になって問い詰めると、夫はうつ状態がひどくて休養しなくてはならないと答えました。 9 夫の単身赴任 夫は平成12年1月、D株式会社を退職し、平成12年4月にはF株式会社に就職し、平成12年5月末ころ沼津支店に配属となりました。夫は沼津市に単身赴任し、週末のみ自宅に帰るという生活をするようになりました。妻は、このころ再び吉田とメール等のやり取りをするようになりました。 10 夫の暴力 夫は平成12年8月ころ、妻に対し沼津市へ来るように要求しましたが、妻はそのような気持ちがなかったことからそれを断って自宅を出ました。すると夫は、妻を追いかけ、腕を掴んで止めようとしたため、妻は夫に対し「こんな仮面生活は送りたくない。静岡なんて行きたくない。」とはっきりと伝えたところ、夫は激怒し、妻の顔面を殴打しました。 11 別居 その後、妻と夫は離婚についての話し合いを数回持ち、妻は平成13年9月、離婚のための調停を申し立てましたが不成立となったので、平成14年3月長女の花子とともに自宅を出て実家に戻りました。 |
---|---|
判例要約 | 1 離婚を認める 妻と夫の結婚関係が破綻したのは、二人の物の考え方や価値観等に由来する部分が大きいといえます。そのため、夫のみに責任があるということができないと解釈されました。 2 長女花子の親権者を妻と認める 長女花子は3歳であること、妻は自分の両親とともに横浜市内の実家に居住し、花子を保育園に預けながら東京都内の会社に勤めていること、花子はアレルギー体質のため食品制限が必要で、妻が健康管理に注意して養育していること、妻は両親の協力を得て月2回の割合で夫を花子に面会させていること等の事実が認められました。 3 妻の養育費請求を認める 夫の手取り月収は約32,3万円であり、社宅の費用として月5万円を負担しているほかに借金の負担はないこと、妻の手取り月収は約15万円であること、夫は花子の養育料として月額5万円を相当な金額であると考えていることが認められます。夫が妻に対して離婚裁判確定の日から花子が成人に達するまで毎月末日までに5万円を養育料として支払うのが相当です。 4 妻の上記以外の請求は認められない 離婚について、夫のみに責任があるということができないことから、妻の夫に対する慰謝料請求は認められませんでした。 5 訴訟費用 訴訟費用は、これを2分割して、その1ずつが妻と夫の負担となります。 |