「推定」に関する離婚事例・判例
「推定」に関する事例:「夫の浮気や暴力による、結婚生活の破綻」
「推定」に関する事例:「離婚を請求した夫に責任があるとして、離婚を認めた判例」
キーポイント | 離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求を裁判所が認めない」という大原則があります。 そのため、当事件のキーポイントは、夫の浮気や暴力が離婚の原因を作ったのかどうかにあります。 また、当事件では夫婦間で作成した離婚に関する「誓約書」の存在が挙げられます。 そのため、誓約書が当裁判においてどこまで認められるのか、という点もキーポイントになっています。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは、夫(原告)であり、裁判を起こされたのは、その妻(被告)です。 1 結婚 当事件の当事者である夫は、妻と昭和58年4月22日に婚姻の届出をし、夫婦となりました。 なお夫は、現在東証一部上場会社の代表取締役であり、また前妻と昭和56年9月4日に離婚届を提出しています。 妻も同様に、前夫と昭和49年7月22日に離婚しています。 2 誓約書の存在 夫婦間には、昭和57年12月付で夫と妻が署名押印した「誓約書」があります。 その内容は、夫婦のどちらか一方が自由に申し出ることによって、いつでも離婚が出来るとしたものです。 さらに離婚した場合の、夫から妻への財産分与額についても明示されており、結婚年数によってその金額が変わってゆく内容となっています。 3 夫の浮気 夫は、平成8年頃からキャシー(仮名)と不倫関係にありました。 4 夫の暴力 夫は、平成8年1月に洗面所で歯を磨いていた妻を突き飛ばしたことにより骨折をさせ、4週間の入院を余儀なくされました。 また夫と妻は、その暴行の前日に夫とキャシーの不倫について、話し合いをしていたばかりでした。 5 夫が当事件の裁判を起こす 夫は、平成10年1月7日に東京家庭裁判所に対して家事調停を申し立て、夫が妻に対して生活費や住居費を支払うことで家事調停が成立しました。 夫は、平成13年に東京地方裁判所に対して、当判例の裁判を起こしました。 これを受けて妻は、夫を相手として離婚の請求に加えて、財産分与の支払いを求める裁判を反対に起こしました。 |
判例要約 | 1 夫は浮気をしていた 裁判所は、夫とキャシーの関係について、事実関係や夫の供述の曖昧さ等から、不倫関係にあったと推定しています。 2 夫の暴行の事実について 裁判所は、提出された証拠や夫、妻の弁論から、夫の暴行があったと認めています。 なお妻が主張した、夫婦で海外旅行に行ったときの夫の暴行については、証拠の乏しさや供述の内容が不自然なことから、これを認めていません。 3 誓約書について 裁判所は、夫婦間で交わした誓約書について、将来の離婚という身分関係を金銭の支払いによって解決する事自体が公序良俗に反するとして、無効として認めていません。 また裁判所は、仮に誓約書が有効なものとしても、誓約書で謳っているのはあくまで「協議離婚」での話であって、当事件は「裁判上の離婚」が問題になっているのだから、結局誓約書の効力が認められないことには変わりないとしています。 4 結婚生活の破綻の原因は夫にある 裁判所は、結婚生活の破綻の原因について、夫の浮気と暴行によるものであるとして、その責任は夫にあるとしています。 5 財産分与について 裁判所は、結婚生活が破綻した責任は夫にあることと、離婚後の妻が経済的に苦しくなることを考慮し、夫に対して共有財産の5%である10億円を財産分与として支払うよう命じています。 |
原文 | ※ 原文未設定。 |
関連キーワード | 離婚,暴力,浮気,財産分与,誓約書 |
原告側の請求内容 | 1 夫の請求 ①妻との離婚 2 妻の請求 ①夫との離婚 ②財産分与 |
勝訴・敗訴 | ①全面勝訴②一部勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
40,400,000円~40,600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成13年(タ)第304号、平成13年(タ)第668号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「夫の浮気や暴力による、結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この事件は妻(原告)が夫(被告)に対して起こした裁判です。 1 結婚 二人は昭和59年3月ないしは4月ころ、同じ職場で知り合い、昭和61年10月4日に婚姻届出をしました。 同年2月28日、マンションを妻5分の1、夫5分の4の割合で共同で購入して以降平成12年10月29日までマンションにて同居していた。 妻には、前の夫との子供が2人おり、昭和62年10月12日養子縁組の届出をしました。 2 夫が糖尿病にかかる 昭和63年末ころから、糖尿病に罹患し、夫がそれを理由に性生活を拒否したことを契機に、妻と夫の間には性的な関係はなくなり、寝室も別になりました。 3 夫の暴力 平成元年ころより、夫の家事についての不満を理由に些細なことで、妻に手を上げ、止めに入った二人の娘達にも怪我をさせることもあり。夫の暴力が問題になることがありました。 平成3年6月ころ、再度家事についていざこざがあり、夫は妻を数回殴りつけ、止めに入った子供たちにも手を挙げました。 4 夫婦の別居 妻は、家庭内暴力について夫からの真摯な謝罪がなかったため、二人の娘達を連れてマンションを出て数か月間別居しました。 平成3年12月末、夫が暴力はふるわない旨を約束したことを受け、娘達をつれてマンションに戻ったところ、その後は夫が妻に対し手を上げることもなくなり、平穏な生活が続くようになりました。妻も、余暇にはカラオケを楽しむようになった。 5 夫の不貞行為と暴力 平成12年始めごろから、夫は特定の女性と不貞行為を繰り返すようになりました。 また、同年4月9日以降公然と無断外泊を繰り返すようになり、妻と次女に対し、家庭内暴力や嫌がらせを行うことによって、妻と夫の結婚関係は破綻するに至りました。 6 2度目の別居 平成12年10月29日、妻がマンションを出て別居をしました。 |
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判例要約 | 1 夫と妻との離婚を認める 夫婦ともに夫婦関係を継続する意思はなく、妻と夫の婚姻関係は破綻しているから、離婚を求める妻の請求に理由があるのは明らかである。 2 妻の慰謝料請求を一部認める 平成12年4月9日以降公然と無断外泊を繰り返すようになり、妻と次女に対し、家庭内暴力や嫌がらせを行うことによって、妻と夫の結婚関係は破綻したものと認めるのが相当です。 夫の責任となる不貞行為や、家庭内暴力、嫌がらせによって、結婚生活は破綻するに至ったものであって、これによって妻が味わった精神的苦痛に対する慰謝料は300万円と認めるのが相当です。 3 財産分与について一部認める 離婚時点において清算すべき金額は、全体から既に清算済みと認められる1,118万3,138円を控除した1,243万4,031円となります。 また、別居後の妻と夫の生活状況、並びに妻と夫の資産・負債の状況に照らせば、財産分与額の算定に当たり、夫の妻に対する離婚後の扶養の要素を考慮するのが相当であるのは明らかであって、その金額や期間としては、月額10万円を2年間程度認めるのが相当であり、合計金額は240万円と裁判所は判断んしました。 その為、上記計算の合計である1,483万4,031円の支払を夫に求めることができます。 4 妻は、夫に対し、財産分与を原因とする共有持分移転登記手続をせよ 夫が本件マンションの住宅ローンを負担していくものと認められることからすると、離婚に伴って本件マンション全部を夫が取得するのが相当なので、離婚に伴う財産分与として、本件マンションについて妻が有している5分の1の共有持分を被告に移転するのが相当です。そのため、夫の妻に対する共有持分移転登記手続を認めることと裁判所は判断しました。 |
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