「損害賠償請求訴訟」に関する離婚事例・判例
「損害賠償請求訴訟」に関する事例:「夫の浮気による結婚生活の破綻」
「損害賠償請求訴訟」に関する事例:「浮気を繰り返した夫からの離婚請求が、妻への裏切り行為として認められなかった判例」
キーポイント | 離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求を裁判所が認めない」という大原則があります。 そのため、当事件のキーポイントは、夫の浮気が離婚の原因を作ったのかどうかにあります。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは、夫(原告)であり、裁判を起こされたのは、その妻(被告)です。 1.結婚 当事件の当事者である、夫は大学在学中に知り合った妻と、昭和60年11月1日に婚姻の届出を行い夫婦になりました。 2.子の誕生・自宅の購入 夫婦間には、平成5年2月に長男の太郎(仮名)が生まれました。 また平成6年には、26年のローンで夫婦共有のマンションを購入し、親子3人で暮らしていました。 3.夫の浮気 ところが、夫には平成2年から同じ職場で働いていた山田(仮名)と浮気をしており、後になって妻がそれを知りました。 夫は妻に謝ったものの、夫は平成8年4月頃からよく外泊をするようになり、平成8年5月には週1~2度しか帰宅しないようになりました。 4.夫の別居 平成8年7月には、夫は妻が留守の間に、自分の家財道具一式を自宅から持ち出し、それ以降別居するようになりました。 戻った妻はこれに驚き、夫の親や知人に夫に説得し、帰宅するように求めましたが、夫はこれに応じることはありませんでした。 5.夫婦関係調整の調停の申立て 夫は、平成8年に東京家庭裁判所に、夫婦関係調整の調停を申し立てました。 別居することを認める代わりに夫は毎月妻にお金を支払い、住宅ローンの支払いを負担するといった内容の調停が成立しました。 6.繰り返す夫の浮気 夫は、平成6年7月から転勤した別の職場で働いていた佐藤(仮名)と浮気をしていました。 それは夫と妻が別居する以前からの不倫関係であり、別居後も続いていました。 妻は、平成9年に佐藤に対して、損害賠償請求の訴訟を起こし、平成10年7月には勝訴し、佐藤には妻に損害賠償を支払う判決が出ました。 7.再び夫婦関係調整の調停の申し立て 夫は、平成10年1月にまた別の職場に転勤となりましたが、転勤後も佐藤との不倫関係は続き、平成10年3月から、佐藤との同せいを始めました。 そこで夫は、平成14年に東京家庭裁判所に、再び夫婦関係調整の調停を申し立てましたが、妻は夫が示した条件に納得できず、調停は不成立となりました。 8.不倫相手との間に子が生まれる 夫の不倫相手の佐藤は、夫との間に子の健太(仮名)が生まれました。しかし、同時期に脳梗塞を発症し、体に障害が残ってしまいました。 9.妻の夫への想い・長男の父親への愛情 妻は別居後、太郎と暮らしており、なお夫が戻ってくることを願っていました。 夫に対し、妻の想いや長男の近況を書いた手紙を送っていましたが、夫からの返事はありませんでした。 妻は、今もなお夫が戻ってくることを願っていますが、夫が離婚請求の訴訟を起こしたことや佐藤の出産を知ったことで、精神的に苦痛を受けてしまい、抑うつ状態と診断されました。 また太郎は、現在中学一年生ですが、父親である夫への愛情があり、帰宅してほしいと願っています。 10.夫が当判例の裁判を起こす 夫は平成15年に当裁判をおこしました。 |
判例要約 | 1.夫婦関係はすでに破綻しているといえる 夫と妻の別居期間は9年間も経っており、また夫の不倫相手との間に子供も生まれ、夫は妻と一緒に生活することを望んでいません。 したがって、もはや夫婦生活を回復する見込みがありません。 2.離婚の原因は夫にある 夫婦の別居を始める以前から、夫は不倫をしており、別居後も不倫関係を続けていることから、離婚の原因は夫にあると言えます。 3.離婚の原因を作った夫からの、離婚請求は認められない 夫婦の別居期間が長いことは認められますが、現在もなお父親である夫を慕っている未成年の子がいることを考えると、離婚をすることにより子にこれ以上の精神的な苦痛を与えることは許されません。 また、夫は浮気をしたことについて十分に反省せず、さらに不倫関係を続けたことで、夫が妻を裏切ったと言えます。 したがって、夫の請求は認めることが出来ない、というのが裁判所の判断になっています。 |
原文 | 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 原告と被告とを離婚する。 第2 事案の概要 本件は,原告が,被告に対し,両者の間の婚姻関係は既に破たんしており,民法770条1項5号所定の事由があると主張して,離婚を求める事案である。 1 前提となる事実 証拠(甲3,4の1乃至3,13,14,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)原告(昭和**年*月*日生)と被告(昭和**年*月*日生)は,昭和60年11月1日に婚姻の届出をし,平成*年*月*日に長男A(以下「A」という。)をもうけた。 (2)原告は,平成8年に被告と別居し,平成10年にB(昭和**年*月*日生。以下「B」という。)と同せいを始め,平成**年*月*日,Bとの間に子(C。以下「C」という。)をもうけている。 2 争点 (1)原告と被告との婚姻には,民法770条1項5号所定の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるか。 (原告の主張) 原告は,平成8年に被告と別居し,平成10年3月からはBと同居して同人と内縁関係にあり,平成16年2月には同人との間にCをもうけている。一方,原告は,被告と別居後,被告と会うことはほとんどなく,被告との婚姻関係は,回復困難な程度に破たんしている。 (被告の主張) 被告は,原告と別居後も,原告に何十通もの手紙(被告が原告を待っていること,被告の原告に対する強い愛情,Aの様子などを記載したもの)を出し,電話もかけ,何度も原告と会っている。被告は,現在も,原告の気持ちが被告のもとに戻り,原告との婚姻関係が継続することを願っており,婚姻関係は,未だ破たんしていない。 (2)原告と被告との婚姻に民法770条1項5号所定の事由がある場合,原告の離婚請求は,信義誠実の原則に反するか。 (被告の主張) 原告と被告との婚姻関係が破たんしているとしても,①破たんの原因は,原告のBとの不貞行為であり,原告は有責配偶者であること,②原告と被告の間には,未成熟の子(A)が存在し,同人が成熟するまでにはなお相当の年月を要し,同人は,父親としての原告を求めているが,原告は,父親としての関係を継続する努力をしておらず,離婚請求を認めることは,父子関係を一層疎遠にし,Aに大きな精神的打撃を与えるものであって,子の福祉に反すること,③被告は,原告から離婚請求を受け,Bの出産を知らされたことにより,別居期間中の苦悩は増大して耐え難いものとなり,抑うつ状態等と診断されるに至っており,離婚請求が認められれば,被告にいかなる障害が発生するとも限らないことなどからすると,原告の離婚請求は,信義誠実の原則に反する。 (原告の主張) 原告と被告との婚姻関係の破たんの原因は,婚姻当初からの両者の性格の不一致である。原告がBと交際を開始したのは,平成8年7月中旬以後であって,そのときには既に婚姻関係は破たんしていたから,原告は,有責配偶者ではない。 仮に原告が有責配偶者であるとしても,①原告と被告の別居期間は,約9年の長期間に及んでいること,②原告は,約7年間にわたりBと内縁関係にあり,Bとの間にCをもうけているが,Bは,脳梗塞の後遺症により右半身が麻痺しており,同人の介護及びCの監護に当たって,原告の物心両面での補助が不可欠であること,③原告は,被告と別居後も,被告に対して相当額の婚姻費用を支払い,被告及びAの居住するマンションの さらに詳しくみる:①原告と被告の別居期間は,約9年の長期間・・・ |
関連キーワード | 離婚,浮気,不貞,不倫,有責配偶者,住宅ローン,抑うつ |
原告側の請求内容 | ①妻との離婚 |
勝訴・敗訴 | 全面敗訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地判平成17年8月26日(平成15年(タ)第821号) 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「夫の浮気による結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判は妻(原告)が夫(被告)に対して起こした裁判です。 1 結婚 妻と夫は、平成11年12月14日婚姻の届出をしました。妻と夫の間には、長女(愛子・仮名)が居ました。 2 結婚生活 妻と夫は、婚姻後、賃貸アパートに居住していました。夫は、コンピューターソフト製作会社にシステムエンジニアとして勤務し、 手取額で毎月28万円程度の収入を得ていましたが、仕事が深夜に及んだり、休日も出勤することが多くありました。妻は、専業主婦として生活していました。 夫の残業等の多い状態は、長女が生まれた後も変わらず、夫の休日においても、夫婦としての会話が少なく、夫は自己の好むテレビ番組を観るなどするばかりで、夫が長女の世話をすることもありませんでした。 3 マンションの購入 妻と夫は、平成13年夏ころ、マンションが狭いことなどから、相談の上、居住するマンション近くの一戸建て住宅を購入しようとしましましたが、その当時、マンションのローンが約1600万円残り、この半額を返済しないと新たにローンを組むことができない状態でした。 このため、夫は、妻の父親である(雄一・仮名)に援助を依頼し、800万円を借りて一戸建て住宅を代金3,300万円で購入しました。 4 夫婦関係の悪化 妻と夫は、平成13年8月頃、言い争いとなり、妻が愛子を連れて実家に帰り、一時期別居しましましたが、間もなく元通りの同居生活を送るようになりました。妻と夫は、同年11月初め頃、購入した一戸建て住宅に転居しましたが、売却すべきマンションのリフォーム問題で言い争いとなり、妻は、愛子を連れて実家に帰り、妻と夫は別居状態にあります。 5 夫と雄一の裁判 夫は、平成14年1月18日、マンションを代金1,780万円で売却し、ローン残額約720万円を支払った後の約1,060万円を取得しましましたが、雄一から援助を受けた800万円を返済しませんでした。 夫は、雄一から暴行等を受けたとして、損害賠償を求める裁判を起こしました。 一方、夫に貸した800万円について、雄一は裁判を起こしました。贈与されたものであるとして、これを争っていました。 また、妻の母親である(由美子・仮名)は、夫から暴行を受けたなどとして、夫を相手に損害賠償を求める裁判をおこしました。 6 妻と夫の性格 妻は、気が強く、言いたいことを遠慮なくずけずけ言ってしまう性格で、妻も自覚していました。 一方、夫は、他人に対し少し気弱な性質であるが、被害者意識が強く、自己の考えに固執しがちであり、家族に対する気遣いなどができない性格でした。 7 愛子について 長女の愛子は妻が養育をしており、夫は養育費を別居後約1年間に1万円を支払ったのみで、妻に対し長女との面接交渉も求めたことはなく、長女の年も答えられませんでした。 8 裁判 妻が夫に対して、離婚と慰謝料の支払いを求めて裁判を起こしました。 |
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判例要約 | 1 妻の離婚の請求を認める 婚姻破綻の原因が性格の不一致にあるとしても、 その主な原因は、夫が、妻や子供への無関心で身勝手な生活態度にあり、結婚生活の修復は難しいとして妻の離婚の請求はみとめられました。 また、愛子の親権者は、妻とされました。 2 慰謝料・養育費 2歳になる愛子を抱えた妻の精神的苦痛を慰謝する責任があるとして、夫は妻に対して200万円支払うこととなりました。 養育費に関しては、夫は働く意欲はあること、専業主婦であった妻としては、満2歳の長女を抱えて就職するのも困難であることを考慮して、 満2歳の愛子の養育費として、月3万円を支払うこととされました。 |
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