「信義則」に関する離婚事例・判例
「信義則」に関する事例:「夫の借金による結婚生活の破綻」
「信義則」に関する事例:「ギャンブルで借金を重ねた夫からの、離婚請求が認められなかった判例」
キーポイント | 当事件は、夫婦間の婚姻関係が破綻していることを前提として考えます。 もし破綻しているのなら、その原因が夫にあることにより、当事件の夫による離婚請求が常識に照らし合わせて、認めてよいのかどうかにあります。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは、夫(原告)であり、裁判を起こされたのは、その妻(被告)です。 1.結婚 当事件の当事者である夫は、お見合いで知り合った妻と、昭和54年3月1日に婚姻の届出を行い、夫婦となりました。 そして昭和**年(原文記載無し)には、長女の花子(仮名)が誕生しました。 2.夫婦関係の悪化 妻の母親が、昭和60年10月に一緒に同居しはじめましたが、夫と妻の母親は仲が良いとはいえませんでした。 またこの頃から、夫と妻は食事や寝室を別々にするようになり、夫婦関係が悪化し始め、さらに夫は、夫婦関係の憂さ晴らしをパチンコ等でするようになりました。 昭和61年5月頃には、話し合いにより、夫は職場の家族寮に入り、妻は現自宅に居住することになりました。 3.離婚調停の申し立て 夫は、妻や妻の母親との関係が悪化したことにより、昭和63年7月に離婚の調停を申し立てました。 しかし、妻が夫に謝罪をしたため、夫は離婚の調停の申し立てを取り下げました。 4.夫のギャンブルによる浪費 夫は、平成元年7月頃から、パチンコや競輪などのギャンブル等で、貯蓄を切り崩していました。 また夫と妻は、平成7年に現在の自宅を購入しましたが、平成8年夏頃は、夫のギャンブルによる浪費が一層激しくなっていました。 また夫は、知人の自動車ローンの保証人になっていましたが、知人が亡くなったことにより、知人の借金を背負うことになってしまい、督促状が来たことにより、妻は借金の存在を知ることになりました。 妻は、夫婦関係の悪化、夫の借金や兄弟の病気など、精神的に不安定になり、うつ状態と診断され入院をしました。 また夫が十分な生活費を入れてくれないため、妻も銀行や信販会社から借金をするようになりました。 5.婚姻費用の分担と離婚の調停の申し立て 妻は、十分な生活費を入れてくれない夫に対して、平成13年3月婚姻費用分担の調停の申し立てをしました。 さらに妻は、夫に対して平成14年8月に離婚調停の申し立てをしました。 同時に、調停の申し立ての間に妻は、借金の返済の目処が立たなくなり、平成14年12月に自己破産の手続きをしました。 6.夫が当判例の裁判を起こす 夫は、夫婦関係の悪化がさらにひどくなったことにより、平成15年3月17日に当裁判を起こしました。 |
判例要約 | 1.夫婦関係はすでに破綻している 夫と妻は、お互い同じ家に住みながら、生活はまったく別にしており、口論以外はほとんど会話もないことから、夫婦関係は破綻していると言えます。 また、夫婦関係が破綻した原因は、主にギャンブルにより借金を重ねた夫に責任があるとしています。 2.夫の離婚請求を認めない 妻は、夫の借金により生活費に苦しみ、平成15年に破産宣告を受けています。また、平成16年6月時点でうつ状態から回復をしていません。 離婚を認めることになれば、更なる経済的・精神的にダメージを与えることになってしまいます。 また、家庭内別居の期間は、同居の期間と比較して、それほど長いとは言えません。 以上のことから、夫の離婚請求は認められないというのが、裁判所の判断となっています。 |
原文 | 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請 求 原告と被告とを離婚する。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、妻である被告に対し、両者の間の婚姻関係が破綻し、婚姻を継続しがたい重大な事由があると主張して、離婚を求めたのに対し、被告が、婚姻関係の破綻を否認するとともに、原告がいわゆる有責配偶者であるから、本訴請求は許されないと主張して、これを争った事案である。 2 前提事実(争いのない事実及び掲記の証拠等により容易に認定できる事実) (1) 原告(昭和**年*月*日生)と被告(昭和**年*月*日生)は昭和54年3月1日に婚姻した夫婦である。(争いのない事実、甲1) (2) 原告と被告の間には、長女A(昭和**年*月*日生)(以下「長女」という。)がいる。(争いのない事実、甲1) (3) 原告は、被告を相手方として、東京家庭裁判所に対し、離婚を求めて夫婦関係調整の申立て(同裁判所平成14年(家イ)第5425号)をしたが、同調停は平成14年11月11日不調となった。(争いのない事実、甲2) 3 争 点 (1) 原告と被告の婚姻関係は破綻しているか。 (2) 原告と被告の婚姻関係が破綻しているとした場合に、その原因がもっぱら原告にあり(有責配偶者)、本訴請求が信義則に反し許されないといえるか。 【原 告】 (1) 原告と被告は、昭和61年に被告の母と同居を始めたが、そのころから、被告は、専業主婦であるにもかかわらず家事をほとんど放棄し、また、性格の不一致から、ほとんど毎日のように口論が絶えない状態となった(その後、被告の母とは別居した。)。そこで、原告は、昭和63年、被告との離婚を求めて東京家庭裁判所に調停を申し立てたが、被告が自己の非を認めたため、同申立を取り下げた。ところが、被告はその後も自己の生活態度を改めず、日常の家事を放棄し、原告自身が日常の炊事、洗濯等の家事を自ら行わなければならない状態が続いており、毎日のように些細なことで口論する状態が続いている。 このように、原告と被告の婚姻関係は既に破綻していることは明らかである。 (2) 被告の主張(2)のうち、被告が家事を行わなくなったのが原告の責めに帰すべき事由によるとの点は否認する。 同アについて、原告はパチンコなどを楽しむ程度にしており、財形貯蓄を解約したのは、二度の転居や車のローンの支払、長女の学費の支払のためである。 同イについて、原告と被告はしばしば口論することがあったが、原告が被告に暴力をふるったことはなく、被告がうつ病になったのは、被告の性格に起因する。 同ウについて、被告が退院後に家事をしたのは、原告と長女であり、原告が給与のうち15万円を自己の口座に入金するようになったのは、被告が浪費家で無計画に費消するからであった。 【被 告】 (1) 原告の主張(1)のうち、原告と被告が昭和61年に被告の母と同居し、現在は同居していないこと、被告が専業主婦であること、被告が専業主婦であること、原告が昭和63年に離婚調停を申し立て、これを取り下げたことは認める。被告が原告のための炊事、洗濯等の家事を行っていないとの点については、平成12年以降これを行っていないとの限度で認める。その余は否認する。 被告は、平成14年8月に夫婦関係調整の調停を申し立てたが、これは、同調停に先立つ婚姻費用分担の調停において、被告が原告に自宅を出て別居することを求めたところ さらに詳しくみる:停において、被告が原告に自宅を出て別居す・・・ |
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原告側の請求内容 | ①妻との離婚 |
勝訴・敗訴 | 全面敗訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地判平成17年5月26日(平成15年(タ)第188号) 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「夫の借金による結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。 1 結婚 夫と妻は平成2年7月7日に結婚しました。 当時夫には定職がなかったため、妻が働いて生活を支えていました。しかし、平成2年9月に夫が新聞社に就職したことから、妻は退職して専業主婦として夫の給与や家計を管理するようになりました。 平成4年7月に長男が誕生しました。 2 夫婦喧嘩 妻は長男の妊娠6ヶ月検診の日に切迫流産になり、出産まで入院していました。 そのため妻は体力が落ち、出産後も育児に疲れ、精神的に不安定な状態となりました。 夫は新聞社勤務という仕事柄、多忙で勤務時間が不規則だったため、妻からの家事、育児の要求に応えきれないことも多くありました。 このころから、妻は夫が無駄遣いをしがちなことや、食事の支度など家事を十分にしないなどとして不満を抱いていました。一方夫も、妻が家事や食事の支度を十分にしないことや、すぐに実家の母親を頼ることに不満を抱いていました。 そのため、夫婦間では家事のことや金銭面でよく喧嘩がありました。時には暴力が伴うこともありました。 3 心機一転引越しをするも… 夫と妻は平成5年4月ころ、心機一転すべく引越しをしました。 しかし、ここでも時には暴力を伴う喧嘩が絶えませんでした。夫は同居を続けていては勤務にも支障が出ると考え、家を出て、平成6年1月に妻に対して離婚の調停を申立てました。 平成6年3月8日、夫と妻は当分の間別居して、夫が妻に対して毎月18万円の生活費を支払うという内容の話し合いがつきました。 しかし、平成6年5月ころ、夫が家に戻り同居することになりました。 4 マンション購入 夫は妻から勧められてマンションを購入し、平成8年7月に引っ越しました。 しかし、このため夫は毎月マンションのローンと管理費の支払いを負担することになり、家計に余裕がない状態になりました。 5 夫婦仲がうまくいかない日々 その後も夫と妻は互いに相手の言動に不満を抱くなどして、暴力を伴う喧嘩を繰り返しました。妻は夫婦喧嘩の際、自分の身を守るために包丁を手に持つこともありました。 6 別居 平成10年10月27日、夫と妻は長男の前でお金の問題で殴りあうなどの喧嘩になり、妻が頭部打撲等の怪我をして、妻の父親が救急車を呼ぶほどの騒ぎになりました。 これをきっかけに、夫は家を出て実家に戻りました。 妻は長男と共にマンションで生活して別居生活が続いています。 7 調停を申立てる 平成10年12月、妻は夫に対して夫婦の生活費を支払うようにと東京家庭裁判所に調停を申立てました。 夫も平成11年、離婚の調停を申立てました。 夫の申立てた調停は話し合いがまとまらずに終わりましたが、妻の申立てた調停は、夫がマンションのローンのほか、生活費として15万円を妻に支払うといった内容の話し合いが成立しました。 8夫、妻の気持ち 夫は別居後、長男とほとんど交流がありません。また、夫には妻とやり直す気持ちはありません。 妻はマンションで長男と暮らしています。妻は夫が暴力を振るったり、父親としての責任を自覚しないで一方的に離婚を求めるのは身勝手だと思っていて、夫と離婚する気はありません。 |
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判例要約 | 1 婚姻関係を継続しがたい重大な理由がある 遅くとも平成5年4月ころから、平成10年10月27日まで、夫と妻は喧嘩を繰り返して、夫婦関係は改善されないだけではなく、最後の別居の頃には包丁を手に持ったり、救急車を呼ぶまでになっていて、悪化の一途を辿っています。 その間も何回か別居して、夫は協議離婚届を提出したり家庭裁判所に2回離婚調停の申し立てをしています。 平成10年10月27日以降、夫と妻は完全に別居して4年が経過していますが、夫婦関係が改善される兆しすらないことなどを考えると、夫婦間の婚姻関係は回復の見込みがないほどに破綻していて、婚姻関係を継続しがたい重大な原因があるといえます。 これは未成熟の子がいることを考慮しても判断は変わりません。 2 夫の離婚請求を認める 離婚の原因を作った者からの離婚請求を裁判所は認めないという原則があります。 妻は、夫の一方的な暴力や家族を放って家を出たことにより、婚姻関係が破綻したと主張します。 夫婦には、一緒に暮らし、家計を共通にして助け合って家庭を維持する義務があり、これに違反すると離婚の原因として認められます。 しかし、夫が妻に暴力を振るったとしても、夫婦喧嘩の後に、家を出るのは常に夫であり、離婚の申立ても夫からであることからしても、夫の暴力が一方的なものとは認められません。 また、夫は別居中でも夫婦が生活していく上で必要なお金を妻に払っていて、妻と長男が生活しているマンションのローンと管理費の支払いを続けているため、上記の義務に違反しているとはいえません。 よって、夫の離婚請求は、離婚の原因を作った者からの離婚請求には当たらないので、認められます。 3 長男の親権者は妻に 妻は別居を始めた平成10年10月以来、長男を育て、仲良く生活しているため、この状況に特に問題とする点はありません。 これに対して夫は、妻との別居の間長男とほとんど交流がない上、仕事柄忙しく時間も不規則なため、現在10歳の長男を十分に育てることは困難です。 よって、長男の親権者は妻とするのが相当です。 |
「信義則」に関するネット上の情報
2010/07/27
信義則が好きなのよ私だって信義誠実の原則とかマンション分譲契約交渉破棄事件とかいちいち名称が格好良すぎるじゃない(笑)あー浮いたらいいなー民事法浮かなかっ...
はじける牧師様!
一般的な信義則に反する背信行為だと思いました。>(中略)>あらためて韓国マスコミの倫理感覚の欠如を痛感しました。もしこの発言が事実であればsbsが責任を問われる...
キミは僕の光
信義則は一般条項だから基準が不明確だし。‥‥法学部キモチワルイ!笑今朝は朝マックしました(*^ω^*)ふつうのマックよりすき。おしまい!