離婚法律相談データバンク 「原告が帰宅」に関する離婚問題事例、「原告が帰宅」の離婚事例・判例:「妻の宗教活動から生じた婚姻生活の破綻」

原告が帰宅」に関する離婚事例・判例

原告が帰宅」に関する事例:「妻の宗教活動から生じた婚姻生活の破綻」

「原告が帰宅」に関する事例:「宗教活動と離婚請求」

キーポイント ①離婚が認められるためには、結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由が当事者の間になければなりません。
当事件では夫婦から主張された様々な事実を裁判所が吟味し、この「重大な理由」があるかないかを判断しようとしています。
②離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求を裁判所が認めない」という大原則があります。
当事件では、結婚を破たんする原因が夫だけに存在しているのかが判断しようとしています。
②子供の親権については、子供の現在の生活状況を考慮し判断しようとしています。
事例要約 この裁判を起こしたのは、夫(被告)であり、裁判を起こされたのは、その妻(原告)です。

1 結婚
当事件の当事者である夫は、妻と昭和54年5月1日に婚姻の届出をし、夫婦となりました。

2 妻の信仰
結婚後、妻は仕事上の悩み、子供の教育の問題から、宗教(エホバの証人)にのめり込むようになりました。

3 夫婦間の衝突
妻の信仰する宗教は、輸血を許さない、正月などの儀式を行わない、先祖崇拝は禁じられているため墓参りをしても手を合わせない、等の教義があるため、夫は不満を持ちはじめ夫婦関係に亀裂が生じます。

4 婚姻関係の破綻
夫は妻が子供をつれて日曜の集会に行くことに反対し、暴力をふるってでも宗教活動を制止しようとするようになりました。
その後、衝突が大きくなったことから、夫婦は別居状態になり、子供は夫の両親の下で生活するようになりました。

5 別居状態から離婚請求へ
夫は妻の行動が改善しないこと、婚姻関係が破綻していることを理由として裁判所に離婚請求、子供の親権の主張を行いました。
判例要約 1 結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由が当事者の間にあります
妻の信仰及びその宗教活動について夫婦間の対立は深刻であり、夫の離婚意思も固く、7年間も別居していたことからしても、継続する理由はないと判断しています。

2 婚姻の破綻の責任が夫(原告)だけに存在しておらず、夫(原告)は離婚の原因を作ったとは言えず、離婚請求ができます
妻の宗教活動を暴力をもって制止しようとした点は許されないことです。
しかし、夫のこういった制止行動だけを理由として婚姻関係が破綻したとはいえません。
当裁判では妻の宗教活動も婚姻関係の破綻に重大な影響を与えていると判断しています。

3 子供の親権者は、夫(原告)と裁判所は判断しました
子供は夫の両親の下で安定した生活を送っているため、親権者は夫とすべきと判断しています。
原文 主   文

 一 原告と被告は離婚する。
 二 原告と被告問の長男一郎(昭和五五年一月二九日生)及び長女良子(昭和五九年四月一三日生)の親権者を原告と定める。
 三 訴訟費用は被告の負担とする。

       事   実

第一 当事者の申立
 一 原告
 主文と同旨
 二 被告
  1 原告の請求を棄却する。
  2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
 一 請求の原因
  1 原告と被告は昭和五四年五月一日に婚姻した夫婦であり、その間に長男一郎(昭和五五年一月二九日生)及び長女良子(昭和五九年四月一三日生)がいる。
  2 離婚原因
 被告は昭和五七年一一月ころ「エホバの証人」の伝道者の勧誘を受け、二、三度集会に出席するうち信仰にのめり込むようになった。昭和六○年一一月ころからは毎日曜日には必ずエホバの証人の集会に出るようになり、原告が家族でどこかに出掛けようと誘っても断り、言い争いが絶えなくなった。更に、被告は嫌がる子供を連れて夜の勉強会と称する集会にも出席するようになり、原被告間の言い争いも更に激しくなった。原告は家庭を守るために被告の両親とともに信仰の中止を懇請したが、被告は聞き入れなかった。
 被告は、昭和六一年四月末ころ原告と言い争いの末原告が被告を殴ったこともおって、門司市の実家に帰り別居している。原被告の別居は六年半以上にも及び、原被告の夫婦関係は完全に破綻している。被告の宗教活動が続く限り円満な夫婦関係の回復はできないし、被告との同居は子供の育成上悪影響を与える。なお、被告の将来の生活費については、原告は一括して相当額の金員を支払う用意がある。
 右事実は、民法七七○条一項五号の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する。
  3 親権者
 子供二人は、昭和六一年八月から原告の両親のもとで養育され、原告が広島支店勤務となった平成二年四月からは、原告及び原告の両親とともに生活し、その生活は安定している。したがって、子供二人の親権者は父である原告と定めるべきである。
 二 請求原因に対する被告の答弁及び主張
  1 請求の原因1の事実は認める。
  2 同2は争う。被告は昭和五七年九月エホバの証人のクリスチャンの訪問を受けたのをきっかけとして聖書を勉強するようになった。これは、長男の教育の問題や原告がうつ病になって悩んでいたことなどから勉強を始めたのである。原告主張のように信仰にのめり込むようになったことはなかった。原告は、昭和六○年六月ころ、輸血の事件があり、エホバの証人は子供を死なせる宗教だと言って突然反対し始めて口もきかなくなり、被告が日曜日の集会に行くのを暴力で阻止するようになった。夜の集まりに出席したのは一度だけであり、子供二人は小さかったため連れて行かざるをえなかった。被告は妻としても母としてもそれまでと同様に勤勉に努めてきた。しかるに原告は被告に対し執拗な暴力で信仰の中止を迫り、被告は原告の暴力に耐えきれなくなり、昭和六一年五月ころ門司の実家に帰り別居生活が始まった。別居後も相当期間は原被告双方が婚姻の継続を希望して交渉が続いていた。被告の宗教活動は自宅での聖書の勉強会や週一回程度の集会への参加にとどまり、原告が被告の信仰を尊重し、被告もまた宗教上の信条に固執しないようにすれば、夫婦共同生活の回復は可能であるから、婚姻を継続し難い重大な事由があるとはいえない。
第三 証拠関係
 本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるからこれを引用する。

       理   由

 一 記録   さらに詳しくみる:し、被告もまた宗教上の信条に固執しないよ・・・
関連キーワード 信仰,暴力,離婚,宗教,エホバ
原告側の請求内容 ①離婚請求
②親権の請求
勝訴・敗訴 全面勝訴
予想裁判費用
(弁護士費用)
400,000円~600,000円
証拠 1.住民票
・浮気相手と同居していることを証明するもの
2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書
・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの
3.写真、録音テープ、ビデオテープ
・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など
4.探偵社等の調査報告書
・相手の浮気を証明できるもの
5.クレジットカードの利用明細・領収書
・飲食店・ホテルなどの利用記録など
6.パソコン・携帯電話のメール、手紙
・浮気相手とのやり取りを証明できるもの
審査日 第一審 広島地方裁判所判決/平成4年(タ)第5号
第二審 なし
第三審 なし

上部の「妻の宗教活動から生じた婚姻生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例

事例要約 この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。
1 結婚
夫は昭和49年に大学卒業後、夫の現住所でB動物病院を開業しました。
夫と妻は昭和57年6月9日に結婚し、足立区でマンションを借りて生活を始めました。
妻は当初動物病院を手伝っていましたが、すぐに妊娠して昭和58年に長男の太郎(仮名)を出産し、昭和59年に二男の次郎(仮名)を出産しました。妻はその後は専業主婦になりました。
2 転居
夫と妻は昭和62年9月に家を新築して転居しました。夫はその家にも動物病院の看板を揚げて診察をすることがありましたが、週のうち大部分はB動物病院で診察を行っていました。
3 長女誕生
平成3年に長女の花子(仮名)が生まれました。夫は平成4年12月に新たに家を購入して、妻や家族を引っ越させました。
同時に、夫は以前新築した自宅を売却しました。
引っ越した後は、B動物病院のみの診察になり、夫が自宅に帰るのはほとんど週末だけでした。
4 妻に対する夫の暴力
夫は平成5年2月ころ、妻に対して暴力をふるい、妻は頭部打撲、顔面皮下血腫の怪我を負わせました。また、平成7年6月ころ、妻のお腹や頭を蹴るなどの暴力をふるい、妻に口腔内裂傷、口唇裂傷、腹部・頭部打撲の怪我を負わせました。
5 夫、妻に離婚を求める
夫は平成7年12月から平成8年4月までの間、週末に自宅に戻った際、妻が家事等を怠っていることをメモに取り、平成8年6月から平成9年3月までの間、妻が掃除を怠っていることを明らかにするために部屋の中や外の写真を撮りました。
夫は平成9年ころ妻に対して離婚届にサインするように求めました。
6 妻の家出
妻は平成10年2月、花子と共に家を出て、兵庫県川西市に引っ越しました。
太郎はB動物病院で、次郎は自宅に残りました。
7 調停で、夫は妻に婚姻費用を支払うことが決定
平成10年6月、夫が妻に対して平成10年7月から1ヶ月5万円ずつ婚姻費用を支払うとの調停が成立しました。婚姻費用とは、夫婦が生活していく上でかかるお金のことです。
夫は平成10年7月21日、8月27日、11月30日に各5万円を支払っただけでその後、婚姻費用の支払いをせずに、妻に対する離婚を求める裁判を起こしました。
その後、平成16年3月31日に至って、妻に320万円を支払いました。妻はその間婚姻費用の支払いを強く求めたことはありませんでした。

判例要約 1 妻が家出をしたことは、夫婦の努力義務に反した行動ではない
夫婦は一緒に暮らし、家計を共にし、助け合って家庭を維持するという努力義務を負っています。
夫は平成10年2月に妻が家出をしたことは、この努力義務に反して家族をほったらかしにしたため、夫婦の結婚生活が破綻に繋がったと主張しています。
しかし、夫は妻に対して暴力をふるったり、妻が掃除を怠っていることを明らかにするために写真を撮ったり、離婚届けにサインするように求めたりしていたことから考えると、妻が家を出たのは夫と妻の夫婦関係が破綻し、夫が妻に離婚を強く求めたことが原因と考えられます。
2 二人には結婚生活を継続し難い重大な理由がある
夫の主張①:妻が動物嫌いのため、夫の獣医としての仕事に全く無関心、無協力・無理解で、一時期診療所を手伝わせたこともあったが、妻の客に対する態度が悪くてすぐにやめさせた。
裁判所の判断:妻が動物病院を手伝った期間が短かったことは認められますが、それは妻が長男、すぐに次男を出産したからで、夫の主張は認められないと裁判所は判断しました。
夫の主張②:妻は自己中心的な性格上、妻として家事、炊事、掃除をしなかった。
裁判所の判断:夫は妻が家事を怠っていたことをメモしていましたが、それは夫が週末に自宅に帰った際のみで、また家事に関してのみ記載されていたことからそれを信用することは難しく、写真についても一時点で掃除をしていないことが常に掃除を怠っていたとまで言うことはできないと裁判所は判断しました。
裁判所のまとめ:夫の主張については大部分が認めることのできない事実ですが、夫も妻も家庭生活について相手のやり方、考え方を非難して互いに歩み寄る余地がありません。またお互いに結婚生活を復活させたいとは思っておらず、別居から、この裁判が終わる日まで既に6年6ヶ月以上が経っていることを考えると、夫と妻の夫婦関係は完全に崩壊していると認められます。
3 夫と妻を離婚する
離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求は認めない」という大前提があります。
夫は妻に対して暴力をふるったり、妻が家事、掃除をしないことを明らかにするために写真やメモをとったりしました。夫と妻の夫婦関係が破綻した理由は夫の責任が大きいと考えられます。
しかし、夫と妻の夫婦関係の破綻については、互いの歩み寄れない考え方による部分が大きいため、夫からの離婚請求は認められると裁判所は判断しています。
また、長男、二男は成人し、長女は13歳になっているため、これも二人の離婚を認める要因のひとつとなっています。
4 長女の親権は妻に
夫と妻の別居以来、長女は妻と共に生活をしていて、また妻が親権者として不適格な事情はないため、妻が親権者となりました。

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