「住所を被告」に関する離婚事例・判例
「住所を被告」に関する事例:「価値観の違いによる結婚生活の破綻」
「住所を被告」に関する事例:「価値観の違いによる離婚が認められたが、暴力による慰謝料は認められなかった判例」
キーポイント | 法律で定められている離婚が認められる原因はいくつかありますが、そのうち「浮気・不倫」「結婚相手を扶助する義務」「結婚生活をこれ以上継続しがたい重大な理由」とは具体的にはどのような場合を指すのでしょうか。また、夫が医者という社会的地位が確立した職業であるのにもかかわらず、子供の親権者を妻と定めたところも注目すべき判例といえます。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。 1.結婚 夫と妻は平成9年9月11日に婚姻の届け出を出しました。夫は医師であり、妻は専業主婦で家事と二人の男の子の育児を担当していました。 2.夫の価値観 夫は両親の尊重や生活費などの倹約を重要視する考えであり、常日頃からそのことを妻に対して最大限努力するよう求めていました。妻がそれに沿う行動をしないと者を投げたりしたため妻は精神的に疲弊していました。 3.妻の発病 平成13年11月頃妻は過喚起症候群の疑いのある症状を呈し夫に応急処置してもらいました。平成14年1月と15年5月にも同様の症状を発症したため、妻は某カウンセリングセンターに相談したところ、夫と共にカウンセリングを受けるように勧められたため、その旨夫に伝えましたが夫は応じませんでした。平成15年6月に発症した際は、夫から某大学病院の心療内科に一緒に行こうと言われましたが妻が応じなかったので、それなら実家に帰ったらどうかと提案し妻はそれを受け入れ、二人の子供と共に実家に里帰りしました。以後夫婦は別居生活となりました。 4.出会い系サイト そのころ妻は出会い系サイトで知り合った男性と知り合い実際に会っています。 5.別居後の生活 夫はその後実家を訪れ、その際妻の父から妻が傷ついているので実家で子供たちと共に預かることを申し渡されました。その点、夫も了承しています。また、再度訪れた時には妻が傷ついていることの原因について話し合いましたが、話はまとまりませんでした。その後妻は某病院に通院し、治療した結果、改善の方向が見られました。 6. 夫が当判例の裁判を起こす 7. 両当事者の年収について 夫の年収は900万 妻の年収は300万です。 |
判例要約 | 1.妻の浮気について 単に出会い系サイトで異性と知り合ったと言うだけでは浮気・不倫とは言えないでしょう。具体的な証拠がもっと必要です。 2.結婚相手を扶助する義務について 夫も妻もお互いに協力し相手を扶助する義務を放棄したとは言えず、夫は妻が実家に戻ることを自ら勧めていることから、妻が夫を扶助する義務を放棄したとは認められないですし、夫も自ら妻の実家を訪れていることから、夫が妻を扶助する義務を放棄したとは認められないからです。 3.妻の浪費癖について 夫が倹約を重視する考え方なので、妻に浪費癖があるかどうか問題となりますが、各種の証拠によれば、常識を超えた浪費が行われたと認められるような証拠はありません。 上記でいう夫の考え方に妻が耐えきれず各種症状を発症したという事実に基づけば、結婚生活をこれ以上継続しがたい重大な理由があると言えます。 5.子供の親権について 子供の親権については①子供たちが現状で安定している②妻の精神状態も安定している③子供が生まれて以来妻と一緒にいた時間が長いうえに主な育児を妻が行っていた④子供がまだ幼少である等の点を考慮すると妻が親権を持つべきでしょう。また、養育費については夫は妻に対して月6万支払うべきです。 7.慰謝料について 確かに夫は妻に倹約を求めるあまり物を投げる等の行為に及びましたが、これをもって直ちに慰謝料の請求の根拠となるとは言えません。それに加え、妻が病気になった時には応急処置を施したり、心療内科への同行を申し出るなどの配慮を見せていることからすれば、夫がやったことが不法な行為とはいえません。したがって慰謝料は認められません。 |
原文 | 主 文 1 本訴原告(反訴被告)と本訴被告(反訴原告)とを離婚する。 2 本訴原告(反訴被告)と本訴被告(反訴原告)との間の長男甲山A男(平成**年*月*日生),二男甲山B男(平成**年*月*日生)の親権者をいずれも本訴被告(反訴原告)と定める。 3 本訴原告(反訴被告)は,本訴被告(反訴原告)に対し,73万7142円を支払え。 4 本訴原告(反訴被告)は,本訴被告(反訴原告)に対し,平成17年3月1日から平成30年12月26日まで毎月末日限り1か月12万円の割合による金員を,平成30年12月27日から平成32年7月18日まで毎月末日限り1か月6万円の割合による金員をそれぞれ支払え。 5 本訴被告(反訴原告)のその余の反訴請求を棄却する。 6 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを2分し,その1を本訴被告(反訴原告)の負担とし,その余を本訴原告(反訴被告)の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴請求 (1)主文第1項と同旨。 (2)本訴原告(反訴被告)と本訴被告(反訴原告)との間の長男甲山A男(平成**年*月*日生),二男甲山B男(平成**年*月*日生)の親権者をいずれも本訴原告(反訴被告)と定める。 2 反訴請求 (1)主文第1項から第4項までと同旨。 (2)本訴原告(反訴被告)は,本訴被告(反訴原告)に対し,600万円及びこれに対する平成16年8月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,本訴において,夫である本訴原告(反訴被告)(以下単に「原告」という。)が,妻である本訴被告(反訴原告)(以下単に「被告」という。)との間の婚姻関係には民法770条1項1号,2号及び5号の各事由がある旨主張して,被告に対し,(1)離婚,(2)原被告間の未成年の子である長男甲山A男(以下「A男」という。)及び二男甲山B男(以下「B男」という。)の親権者の原告との指定をそれぞれ求め,反訴において,被告が,原告との間の婚姻関係には民法770条1項2号及び5号の事由がある旨主張して,原告に対し,(1)離婚,(2)A男及びB男の親権者の被告との指定,(3)A男及びB男の養育費として同人らが成人に達するまで各月額6万円の支払,(4)慰謝料600万円及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。 1 前提事実 (1)原告(昭和**年*月*日生)と被告(昭和**年*月*日生)とは,平成9年9月11日に婚姻の届出をした夫婦であり,2人の間には長男A男(平成**年*月*日生),二男B男(平成**年*月*日生)がある(甲1)。 (2)原告は,被告を相手方として,横浜家庭裁判所に,夫婦関係調整の調停を申し立てた(同裁判所平成15年(家イ)第3817号夫婦関係調整調停申立事件)が,同事件は,平成16年3月16日,不成立となった(甲2)。 (3)原告は,被告を相手方として,平成16年3月26日,横浜地方裁判所に,離婚を求める本件本訴を提起し,その後,同事件は当裁判所に移送されたところ,被告は,同年8月24日,原告を相手方とする反訴を提起した(裁判所に顕著な事実)。 2 争点 本件の主要な争点は,(1)原被告間の婚姻関係について,双方が主張する離婚事由があるか否か,(2)原被告間の長男A男及び二男B男の親権者を原被告のいずれと指定すべきか,(3)仮にA男及びB男の親権者が被告と指定された場合に,原告に養育費の支払を認めるべきか否か,また,その額はいくらが相当か,(4)被告が さらに詳しくみる:間の婚姻関係について,双方が主張する離婚・・・ |
関連キーワード | 慰謝料請求,不貞行為,悪意の遺棄,婚姻を継続しがたい重大な事由,離婚 |
原告側の請求内容 | ①夫の請求 a.妻との離婚 b.子供の親権者を夫とする請求 ②妻の請求 a.夫との離婚 b.子供の親権者を妻とする請求 c.子供の養育費 d.慰謝料の請求 |
勝訴・敗訴 | ①一部勝訴 ②一部勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
600,000円~1,200,000円 |
証拠 | 1.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 2.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 3.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 4.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの 5.診断書 ・暴力や病気になったことを証明できるもの 6.証拠写真 ・暴力があったことを証明できるもの 7.領収書類・家計簿 浪費を証明できるもの |
審査日 | 第一審 平成16年(タ)第288号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「価値観の違いによる結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判を起こしたのは、妻(原告)であり、裁判を起こされたのは、その夫(被告)です。 1 夫との出会い 平成6年頃、妻が受付業務のアルバイトをしていた音楽教室で夫がピアノを習っていたことから二人は知り合いました。 2 夫との交際 二人はその後、親しく交際した時期もありましたが、しばらく疎遠となっていました。妻は、東京芸大を経て平成10年5月頃からドイツに居住して音楽大学に通い、声楽を履修していましたが平成11年9月頃から日本に居住する夫と手紙をやりとりするようになりました。 平成12年5月頃から再び親しい関係になり、平成12年8月頃から結婚を前提に交際し平成13年2月28日頃に正式に婚約しました。 3 妻がドイツでオペラ歌手として採用される 妻は平成13年8月に音楽大学を卒業する予定で、その後日本に帰国し夫と挙式し入籍する予定でしたが平成13年1月頃ドイツの歌劇場からオペラ歌手として採用されることが決まり、夫の了解のもと平成13年9月から1年間ドイツでオペラ歌手として働くことになりました。 4 夫との結婚 妻と夫は、当初の予定を早めて平成13年3月22日に入籍し、妻はすぐにドイツに戻ったため結婚直後も同居期間はありませんでした。妻は平成13年8月に音楽大学を卒業して一旦帰国し、平成13年8月25日に結婚披露宴を挙げてこの間、妻と夫は1か月程同居しました。妻は平成13年8月中にドイツに戻り、平成13年9月1日頃から歌劇場でオペラ歌手として働きました。その際妻は、上記歌劇場とは旧姓の山田(仮名)で契約していたため、ドイツでのオペラ歌手としての活動には山田姓を使用していましたが、その点については夫の了解を得ていました。 5 夫が妻の旧姓での活動を問題視するようになる 夫は平成14年4月23日頃から同月28日頃までドイツを訪問し妻が出演しているオペレッタを観劇したりオーケストラの演奏を聞いたりして過ごしましたが、妻がドイツで旧姓を使っているという話が出たことで夫はショックを受けました。それ以後、夫は妻が夫の姓を受け入れていないのではないかと気にかかるようになり、妻がオペラ歌手の仕事関係で山田姓を使用していることや妻の携帯電話の留守番応答が山田姓のままであることを問題視するようになりました。そして、その件を巡りメールやファクスが交わされ、妻が山田姓を使用している理由を夫に説明しても夫が理解しようとせず、夫から結婚を継続するか否かの選択を迫まられるようなメールを受け取ったため、精神的に酷く傷つき夫に対する愛情が急速に冷め、離婚を意識するようになりました。 6 妻が離婚を決意して帰国 妻は平成14年5月13日頃に帰国し、まず熊本の父母方に行き、夫との離婚について相談しますが、父母からは本人同士で解決するように言われました。また妻と夫は連日深夜まで話をし、夫はメールの中に行き過ぎた表現があったことを謝罪し、妻に対する愛情は変わらない旨を述べ、妻の理解を得たものと受け取っていましたが、妻は夫が自己を正当化しその価値観を一方的に押しつけ妻を批判することに終始したものとしか受け取ることができず、精神的にも肉体的にも夫に対する愛情を失なっていきました。妻がドイツに戻った後は、平成14年8月末の帰国に向けて準備をしていましたが、この時点で夫とは価値観や結婚観あるいは感性が根本的に違うと悟り、夫と離婚する決意を固めました。自己の存在そのものである歌について悪く言われたことで、夫に生理的な嫌悪感すら抱くようになり、平成14年8月にドイツ国内で転居したもののその住所を夫には知らせず、現在も明らかにしていません。 7 妻の父母を含めての話し合い 平成14年9月4日頃、熊本で妻の父母を交えて話合いの場を持ちましたが、妻は夫の対応がこれまでと同じであったため短時間で席を立ち、話合いにはなりませんでした。その後妻はドイツで、夫は日本で生活し、妻と夫は、平成14年9月以降は調停期日において2回、いわゆる同席調停の場で顔を合わせただけでメールや手紙でのやりとりも平成14年9月頃が最後でそれ以後は全くないといっていい状況にありました。 |
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判例要約 | 1 結婚生活の破綻の原因は妻にのみあるわけではないため離婚を認める 妻と夫との夫婦関係は、平成13年3月22日に入籍したが、その後も妻がドイツでの生活を継続していたため同居期間は1か月程度でした。夫婦としての共同生活は、平成14年9月から営むことを予定していましたが、未だ共同生活の実体が形成されておらず、完全に破綻しているものと認められました。ただし、妻は夫に対する愛情と信頼を完全に失い、夫と共同生活を行う意思を失っていて、かたや夫も、妻に対する愛情を失っていないとは言うものの、妻と信頼関係を形成できるような精神状況にはないと判断されたため、結婚生活の破綻に関しては一方的に妻のみが原因とはいえず、離婚が認められました。 2 妻の慰謝料請求については認めない 妻と夫との夫婦関係の破綻は、夫のメールが直接的な原因とはなったものの、その原因の根本は、妻と夫との価値観や結婚観の相違、感性の違いにあり、夫のメールはそのことを表現したにすぎないものであるため、慰謝料請求は認められませんでした。 |
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