「名義でマンション」に関する離婚事例・判例
「名義でマンション」に関する事例:「結婚関係の破綻の大きな原因が夫にあるため、夫からの離婚請求が認められなかった事例」
「名義でマンション」に関する事例:「夫が請求する離婚に対し、夫のわがままが大きな原因として請求が認められなかった判例」
キーポイント | 離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求を裁判所が認めない」という大原則があります。 結婚関係の破綻の大きな原因を作った夫からの離婚請求が認められるかが問題となります。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは、夫(原告)であり、裁判を起こされたのは、妻(被告)です。 1 出会いと交際 妻は税理士を目指して平成2年11月会計事務所であるAに入社しました。夫の父が北海道釧路市で会計事務所を経営している関係で、夫も税理士を目指しており、妻の入社前からA社で勤務していました。夫と妻は知り合った当初は挨拶を交わす程度の間柄でしたが平成4年初めころに職場でスキーに行ったことをきっかけに交際を始めました。 2 同居 平成4年4月末ころには東京都世田谷区千歳台の2DKのマンションを夫名義で賃借して同居を始めました。夫と妻ともに税理士試験の受験勉強中であったため昼間は会計事務所で働き、夜は夫が専門学校へ通い、妻が主に家事をこなすという生活を送っていました。 3 夫の退職 夫は平成4年12月税理士試験の受験に専念するために会計事務所を退職しました。そのため、夫と妻は、夫の父から月額30万円の仕送りを受け、これに妻の収入を合わせて生活するようになりました。 4 転居 千歳台のマンションは、家賃と駐車場代が高額であったため、平成5年4月妻の希望で北区の公団住宅に転居しました。家賃と駐車場代が半減したおかげで生活費に余裕ができたため、妻は平成5年12月仕事を派遣社員に切り替えました。その結果、妻が家事に従事できる時間が増えたため平成6年にかけて受験勉強をしながらの共同生活は安定しました。 5 結婚 夫と妻は、平成6年7月の税理士試験が終了した後に結婚式の計画を立てて5月6日に結婚の届出をしました。 6 妻の大学入学 妻は、法学系の大学院を卒業すれば受験をしなくても税理士資格を取得できる立場にありましたが、学歴が短大卒であったため、平成7年4月社会人入試を受けて立教大学法学部に入学しました。 7 夫の2年連続の不合格 夫は平成7年夏の税理士試験に不合格となり、受験勉強に身が入らず深夜までテレビを見て過ごすような生活をしていました。平成8年夏の試験も不合格でしたが怠惰な生活は改まることはありませんでした。 8 夫の再就職 妻は夫の怠惰な生活を見て、再就職を懇願したため、夫は平成9年初めころDに就職しましたが試用期間終了後正式採用をされず、無職の状態に戻りました。そのころは父からの仕送りを受けていたので、夫は昼間はテニスをしながら合間に就職活動をするなど余裕のある生活を送っており、夫は平成10年1月にEに就職しました。 9 マンション購入 夫と妻は平成10年3月26日、妻方のマンションを3,802万7,528円で購入(共有持分各2分の1)して転居しました。代金は、頭金約900万円を妻の預貯金で、そのほかの2,910万円のうち2,700万円を連帯債務(住宅金融公庫が抵当権者)、210万円を妻の債務(あさひ銀保証株式会社が抵当権者)として住宅ローンを組みました。 10 妻の大学院進学 妻は平成11年3月に立教大学法学部を卒業し、4月に国士舘大学大学院法学研究科に進学しました。授業料などの負担が大きくなったため、生活費の分担の見直しを夫に要望しましたが、夫は耳を貸してくれませんでした。 11 夫の浮気 夫は平成12年12月、取引先に勤務する玲子(仮名)(昭和40年生まれ)と知り合いました。玲子の職場が池袋で自宅から近いこともあり、会ってみると意気投合し、5月30日ころには性交渉のある交際を始めました。 12 夫が妻に離婚の意思を伝える 夫は平成13年8月16日、結婚後初めて無断外泊をし、翌17日には妻に対して「好きな女性がいる。結婚したいから家を出る。」と宣言して離婚の意思を明示しました。 13 夫と妻の別居 夫は平成13年9月12日午前1時ころ、妻に対して玲子と別れてくると告げて玲子の家に出かけ、午前5時ころ実際に衣類等を持ち帰って別れたと断言しました。ところが、13日から再び1日おきに外泊をしたことで困り果てていた妻に対し、夫は「離婚するなら話しあう。お金を払うつもりはない。マンションのローンも住んでいないから払わない」などと繰り返しました。妻がそのような態度を続けるのであれば、玲子に会うと言ったところ、いったん帰宅をしましたが、結局、夫は離婚に固執して9月24日に家を出て妻と別居しました。 14 再び同居 夫は9月中にローンの繰上返済のために積み立てていた定期預金約75万円を解約し、浪費をしました。また、妻に対し12月以降働くところもなく住むところも頼るところもないと離婚に向けた話し合いを急ぐよう求めました。ところが、夫は10月14日に自宅に戻り「玲子と別れたのでやり直したい。」と言い、妻はこれを受け入れ再び同居しました。 15 再び別居 妻が職場の旅行へ行っていた10月26日、夫は玲子から家出しなければ性交渉はさせないなどと言われたため、10月27日に妻に対して離婚したいと言い出すようになりました。夫と妻は11月10日に数時間にわたり話し合いをし、11月16日には荷物を持って家を出て妻と別居しました。 16 夫が調停を申し立てる 夫は、11月21日に妻を相手に夫婦関係調整調停の申立てをしましたが、4月15日に不成立で終了しました。 |
判例要約 | 1 離婚を認めない 夫と妻の結婚関係が破綻しているとしても、その原因は夫の一方的なわがままであり、別居期間が1年余りと比較的短いため、離婚の原因を作った夫からの離婚請求を認めることはできません。 2 慰謝料請求を認めない 離婚が認められないことから、夫からの妻に対する慰謝料請求が認められないことは明らかです。 3 訴訟費用は夫の負担 |
原文 | 主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告と被告とを離婚する。 2 被告は,原告に対し,100万円を支払え。 第2 事案の概要 原告(昭和41年○月○○日生まれ)と被告(昭和36年○月○○日生まれ)は,平成6年5月6日に婚姻の届出をした夫婦である。 原告は,平成6年7月ころから性交渉がないことや,性格の不一致のため,婚姻関係が破綻したと主張して,被告に対し,民法770条1項5号に基づく離婚と,これに伴う慰謝料100万円の支払を求めた。これに対し,被告は,原告が離婚を求める理由は,交際している女性と結婚するためであるから,原告は有責配偶者に当たるなどとして,その請求を争った。 第3 判断 1 証拠(甲1~3,乙1~5,7,9の1・2,10,11の1~3,12,13,15~17,22の1・2,23~27,被告本人)と弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)婚姻の届出までの経過 被告は,税理士を目指しており,平成2年11月,会計事務所であるAに入社した。原告の父であるBが,北海道釧路市で会計事務所を経営している関係で,原告も,税理士を目指しており,被告の入社前から,同社で勤務していた。原告と被告は,知り合った当初は,挨拶を交わす程度の間柄であったが,平成4年初めころ,職場でスキーに行ったことをきっかけに交際を始め,同年4月末ころには,東京都世田谷区千歳台の2DKのマンションを,原告名義で賃借し,同居を始めた。ともに税理士試験の受験勉強中であったため,昼間は会計事務所で働き,夜は,原告が専門学校へ通って,被告が主に家事をこなすという生活を送っていた。生活費は,毎月それぞれ約10万円ずつを拠出し,不足分は適宜補うこととしていた。 原告は,平成4年12月,税理士試験の受験に専念することとして,会計事務所を退職した。そのため,原告と被告は,原告の父から月額30万円の仕送りを受けて,これに被告の収入を合わせて生活するようになった。 千歳台のマンションは,家賃が月額12万円,駐車場代が月額3万円と高額であったため,平成5年4月,被告の希望で,北区(以下略)の公団住宅に転居した。家賃と駐車場代が半減し,生活費に余裕ができたため,被告は,平成5年12月,仕事を派遣社員に切り替えた。その結果,被告が家事に従事できる時間が増えたことから,平成6年にかけて,受験勉強をしながらの共同生活は安定した。そこで,原告と被告は,7月の税理士試験が終了した後に結婚式の計画を立てることとして,5月6日,婚姻の届出をした。 (2)原告の再就職までの経過 原告と被告は,平成7年1月15日,オーストラリアのケアンズで結婚式を挙げた。帰国後,ホテルメトロポリタンで親族に対する披露宴を行い,次いで,銀座で,友人知人約50人を招待してウェディングパーティーを開いた。 原告の父が会計事務所を経営していたことから,原告と被告のどちらかは,確実に税理士資格を取得したいと考えていた。被告は,税理士試験合格に必要な科目のうち,会計科目の2科目と,相続税法に合格しており,法学系の大学院を卒業すれば,残りの科目を受験しなくても,税理士資格を取得できる立場にあった。ただし,学歴が短大卒であったため,平成7年4月,社会人入試を受けて立教大学法学部に入学した。 被告は,仕事と学業を両立させる生活となったが,受験勉強から解放された さらに詳しくみる:受けて立教大学法学部に入学した。 ・・・ |
関連キーワード | 離婚,浮気,不倫,有責配偶者,受験生 |
原告側の請求内容 | ①妻との離婚 ②妻が夫に対して1,000,000円を支払う |
勝訴・敗訴 | 全面敗訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成14年(タ)第309号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「結婚関係の破綻の大きな原因が夫にあるため、夫からの離婚請求が認められなかった事例」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判を起こしたのは妻(原告)であり、裁判を起こされたのは、その夫(被告)とその浮気相手(中島・仮名)です。 1結婚 当事件の当事者である、妻は、夫と昭和56年2月13日、婚姻の届け出をし夫婦となりました。 2夫の暴力 妻と夫は平成7年5月30日、口論となり、夫は妻に暴力を振るい、左大腿挫傷の障害を負わせてしまい、妻は子供2人を連れて夫の実家に避難しました。 3話し合い 平成7年5月31日、妻と夫は夫の両親と共に話し合いを行いました。 4妻が調停を起こす 平成7年6月9日、妻は夫に対し、東京家庭裁判所に夫婦関係を円満にするための調停を申し立てましたが、夫は調停には来ずに終了しました。 5別居の合意 平成7年6月29日、妻・夫・妻の両親・夫の両親・夫の経営する会社の顧問弁護士で話し合いを行いました。 その結果、3年後に離婚することを前提とした「妻と夫の別居条件」という書面を作成し、夫は別居中の妻と子供たちのために妻の名義でマンションを購入し、 妻に対し生活費として月額30万円と、国民健康保険料等の支払い金額の9万1000円、そのほか30万円を支払うこと、3年後の離婚は状況の変化に応じて改めて協議するという内容の合意をしました。 6交際女性 平成7年9月4日、中島(仮名)は夫が経営する会社にアルバイトとして採用され、一ヶ月後に正式な従業員として採用されました。 中島は当時結婚しており、子供が2人いましたが、平成9年2月26日子供の親権者を当時結婚していた夫として協議離婚をしました。 7夫が離婚訴訟を起こす 平成7年末ころ、夫は3年後の離婚に備えて離婚届に押印してこれを第三者に預けることを提案しましたが、妻が拒否したため、 夫は妻に対して、離婚を請求する裁判を起こしました。 8夫と中島の交際 夫と中島は平成7年10月ころから交際をはじめ、平成8年6月29日ころから夫の家で同居をはじめました。 9子の家庭内暴力 妻と夫との子は妻と共にマンションに転居した後、家庭内暴力を振るうようになり、高等学校への登校を拒否するなどして、高等学校を中途退学しました。 10裁判離婚 平成11年11月9日妻と夫の離婚と、子供の親権は妻にあるとの判決がでました。 しかし夫と中島の交際は、夫と妻が別居の合意をした後に生じたとして、夫には離婚原因はないとしました。 妻はこれに納得がいかなかったので控訴しましたが、裁判を行った結果、夫と妻が別居に至る経過や別居後の態度を考えると、交際が離婚の原因とまではならないと再び裁判所は判断をしました。 妻はこれにも納得がいかず上告しましたが、最高裁判所はこれを却下し、妻と夫は離婚しました。 11妻が慰謝料を請求する裁判を起こす 妻は平成16年12月31日、中島に対して慰謝料請求の裁判を起こしました。 妻は平成17年1月16日、夫に対して慰謝料請求の裁判を起こしました。 |
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判例要約 | 1夫と中島の交際は離婚原因ではない 裁判所は夫と中島が交際を始めた時期については証拠が乏しく、 平成7年9月以前に交際をしていたという事実や、面識があったという事実を認めることはできないとしています。 また、「妻と夫の別居条件」という書面を作成した、別居の合意は、 子供たちのために離婚手続きを3年間行わないこととするものの、実質的には婚姻生活を終わらせる内容の合意であったことから、 すでに上記の合意を行った平成7年6月29日の時点においては、婚姻生活は修復不能な状態であったと認められました。 このことから、妻と夫の離婚の原因が、中島との交際によるものではないと判断され、妻が請求していた中島からの慰謝料は認められませんでした。 2夫の暴力は離婚原因ではない 証拠によると、平成5年ころにも夫は妻に対し暴力を負わせたことがあると認められ、以前から暴力が繰り返されていたにもかかわらず 離婚には至っていませんでした。また、以前から裁判を起こし積極的に離婚を求めていたのは夫であり、その際に妻は暴力を理由に離婚を求めていません。 よって、離婚原因は夫の暴力自体にあったとはいえません。 また、夫が婚姻生活を続ける意思を失ったのは、夫婦間の価値観の相違なども原因として考えられますので、夫に一方的な責任があったとはいえません。 しかし、暴力は正当化できず、離婚の責任を考えたときに、より重い責任があると考えられます。 よって、夫は妻に対して損害を賠償する責任があると判断されました。 3夫は妻に対し離婚による精神的苦痛を慰謝するために150万円支払うこと 子の家庭内暴力は、夫婦間の紛争に巻き込まれたことが原因と考えられるため、妻と夫は子の精神状態に配慮するべき義務があったといえます。 しかし、家庭内暴力によって生じた妻の精神的苦痛について夫が賠償する義務があるとはいえません。 妻が離婚後に、子供たちの親権者として単独で子供の養育をするべき義務を負うことになったことなどを総合的に考慮すると、 離婚によって被った精神的苦痛をいう損害を賠償するために夫が妻に支払うべき金額は150万円が相当となりました。 |
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