離婚法律相談データバンク 「悪意で遺棄」に関する離婚問題事例、「悪意で遺棄」の離婚事例・判例:「夫と妻の性格、相いれない考え方による結婚生活の破綻」

悪意で遺棄」に関する離婚事例・判例

悪意で遺棄」に関する事例:「夫と妻の性格、相いれない考え方による結婚生活の破綻」

「悪意で遺棄」に関する事例:「夫婦の性格、考え方の違いが大きな原因であるとして、夫からの離婚を認めた判例」

キーポイント 離婚が認められるためには、結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由が当事者の間になければなりません。
よって、この重大な理由が存在するかが問題となります。
事例要約 この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。
1 結婚
夫は昭和49年に大学卒業後、夫の現住所でB動物病院を開業しました。
夫と妻は昭和57年6月9日に結婚し、足立区でマンションを借りて生活を始めました。
妻は当初動物病院を手伝っていましたが、すぐに妊娠して昭和58年に長男の太郎(仮名)を出産し、昭和59年に二男の次郎(仮名)を出産しました。妻はその後は専業主婦になりました。
2 転居
夫と妻は昭和62年9月に家を新築して転居しました。夫はその家にも動物病院の看板を揚げて診察をすることがありましたが、週のうち大部分はB動物病院で診察を行っていました。
3 長女誕生
平成3年に長女の花子(仮名)が生まれました。夫は平成4年12月に新たに家を購入して、妻や家族を引っ越させました。
同時に、夫は以前新築した自宅を売却しました。
引っ越した後は、B動物病院のみの診察になり、夫が自宅に帰るのはほとんど週末だけでした。
4 妻に対する夫の暴力
夫は平成5年2月ころ、妻に対して暴力をふるい、妻は頭部打撲、顔面皮下血腫の怪我を負わせました。また、平成7年6月ころ、妻のお腹や頭を蹴るなどの暴力をふるい、妻に口腔内裂傷、口唇裂傷、腹部・頭部打撲の怪我を負わせました。
5 夫、妻に離婚を求める
夫は平成7年12月から平成8年4月までの間、週末に自宅に戻った際、妻が家事等を怠っていることをメモに取り、平成8年6月から平成9年3月までの間、妻が掃除を怠っていることを明らかにするために部屋の中や外の写真を撮りました。
夫は平成9年ころ妻に対して離婚届にサインするように求めました。
6 妻の家出
妻は平成10年2月、花子と共に家を出て、兵庫県川西市に引っ越しました。
太郎はB動物病院で、次郎は自宅に残りました。
7 調停で、夫は妻に婚姻費用を支払うことが決定
平成10年6月、夫が妻に対して平成10年7月から1ヶ月5万円ずつ婚姻費用を支払うとの調停が成立しました。婚姻費用とは、夫婦が生活していく上でかかるお金のことです。
夫は平成10年7月21日、8月27日、11月30日に各5万円を支払っただけでその後、婚姻費用の支払いをせずに、妻に対する離婚を求める裁判を起こしました。
その後、平成16年3月31日に至って、妻に320万円を支払いました。妻はその間婚姻費用の支払いを強く求めたことはありませんでした。

判例要約 1 妻が家出をしたことは、夫婦の努力義務に反した行動ではない
夫婦は一緒に暮らし、家計を共にし、助け合って家庭を維持するという努力義務を負っています。
夫は平成10年2月に妻が家出をしたことは、この努力義務に反して家族をほったらかしにしたため、夫婦の結婚生活が破綻に繋がったと主張しています。
しかし、夫は妻に対して暴力をふるったり、妻が掃除を怠っていることを明らかにするために写真を撮ったり、離婚届けにサインするように求めたりしていたことから考えると、妻が家を出たのは夫と妻の夫婦関係が破綻し、夫が妻に離婚を強く求めたことが原因と考えられます。
2 二人には結婚生活を継続し難い重大な理由がある
夫の主張①:妻が動物嫌いのため、夫の獣医としての仕事に全く無関心、無協力・無理解で、一時期診療所を手伝わせたこともあったが、妻の客に対する態度が悪くてすぐにやめさせた。
裁判所の判断:妻が動物病院を手伝った期間が短かったことは認められますが、それは妻が長男、すぐに次男を出産したからで、夫の主張は認められないと裁判所は判断しました。
夫の主張②:妻は自己中心的な性格上、妻として家事、炊事、掃除をしなかった。
裁判所の判断:夫は妻が家事を怠っていたことをメモしていましたが、それは夫が週末に自宅に帰った際のみで、また家事に関してのみ記載されていたことからそれを信用することは難しく、写真についても一時点で掃除をしていないことが常に掃除を怠っていたとまで言うことはできないと裁判所は判断しました。
裁判所のまとめ:夫の主張については大部分が認めることのできない事実ですが、夫も妻も家庭生活について相手のやり方、考え方を非難して互いに歩み寄る余地がありません。またお互いに結婚生活を復活させたいとは思っておらず、別居から、この裁判が終わる日まで既に6年6ヶ月以上が経っていることを考えると、夫と妻の夫婦関係は完全に崩壊していると認められます。
3 夫と妻を離婚する
離婚に関する事件では「離婚の原因を作った者の離婚請求は認めない」という大前提があります。
夫は妻に対して暴力をふるったり、妻が家事、掃除をしないことを明らかにするために写真やメモをとったりしました。夫と妻の夫婦関係が破綻した理由は夫の責任が大きいと考えられます。
しかし、夫と妻の夫婦関係の破綻については、互いの歩み寄れない考え方による部分が大きいため、夫からの離婚請求は認められると裁判所は判断しています。
また、長男、二男は成人し、長女は13歳になっているため、これも二人の離婚を認める要因のひとつとなっています。
4 長女の親権は妻に
夫と妻の別居以来、長女は妻と共に生活をしていて、また妻が親権者として不適格な事情はないため、妻が親権者となりました。
原文
       主   文

 1 原告と被告とを離婚する。
 2 原告と被告間の長女A(平成3年○月○○日生)の親権者を被告と定める。
 3 訴訟費用は被告の負担とする。

       事実及び理由

第1 請求
 1 主文第1項と同旨
 2 原告と被告間の長女A(平成3年○月○○日生)の親権者を原告と定める。
第2 事案の概要
 1 本件は,昭和57年6月9日に被告と婚姻した原告が,被告は平成10年2月に家を出て原告を悪意により遺棄し,また,被告が家事等をしないなどの自己中心的な性格等により婚姻関係は完全に破たんし,婚姻を継続し難い重大な事由があると主張して,被告に対し,離婚を求める事案である。
 2 前提事実
 (1)原告(昭和26年○○月○日生)は,昭和49年に大学卒業後,原告の現住所地で,B病院を開業した。原告と被告(昭和31年○月○○日生)とは,昭和57年6月9日婚姻し,足立区でマンションを賃借して生活を始めた(甲第1,第6号証,乙第4号証)。
 (2)原告と被告との間には,長男C(昭和58年○月○○日生),二男D(昭和59年○月○日生),長女A(平成3年○月○○日生)が生まれた(甲第1号証)。
 (3)原告と被告は,昭和62年3月,茨城県北相馬郡(以下略)の土地を購入し,同年9月家を新築して,同所に転居した(甲第6,第12,第13号証,乙第4号証。以下「△△台の家」という。)。
 (4)原告は,平成4年12月,上記(以下略)の土地建物を購入し,被告ら家族と共に同所に転居した(甲第6,第16号証,第17号証の1・2,乙第4号証。以下「◇◇台の家」という。)。
 (5)被告は,平成10年2月26日,長女Aとともに,◇◇台の家を出て,兵庫県川西市の現住所地に転居し(甲第27号証,乙第4号証),水戸家庭裁判所竜ヶ崎支部に,夫婦関係調整及び婚姻費用の分担の調停を申し立て,同年6月24日,夫婦関係調整調停事件は不成立で終了し,婚姻費用の分担調停申立は,原告が被告に対し,同年7月から将来同居又は離婚する日の属する月までの間,1か月につき5万円を支払うことで調停が成立した(甲第2,第3号証)。
 3 争点及びこれに関する当事者双方の主張
 (1)悪意の遺棄の存否
  (原告の主張)
    被告は,平成10年2月26日ころ,自宅に当時中学1年の二男Dを残して,長女Aを連れて家を出て,妻の同居の義務を投げだし,以後実家に帰り帰宅することがなかったから,原告を悪意で遺棄した。
  (被告の主張)
    原告は,◇◇台の家を購入することを一方的に決めて,自分だけの名義にし,原告に暴力を振るい,生活費を出さず,被告に対し一方的に離婚を迫り,勝手に離婚届を作成して,被告に署名押印を強要しようとしたため,被告は,原告の暴力を避けるためやむを得ず,かつ,原告に追い出される形で別居したのであるから,被告は原告を悪意で遺棄したものではない。
 (2)婚姻を継続し難い事由の存否
  (原告の主張)
   ア 被告は動物嫌いのため,原告の獣医としての仕事に全く無協力,無理解であり,一時診療所を手伝わせたこともあったが,客に対する対応も悪く,すぐに動物病院の手伝いをやめた。
   イ 被告は自己中心的な性格の上,妻として家事,炊事,掃除や子供の教育をせず,特に掃除は自分の部屋以外は行わず,全部原告がしていた。また,平成4年から6年にかけ,当時小学生の長男,二男を家に置いたまま,子供の面倒を放棄して,1週間以上の海外旅行を3度も繰り返すなど,家庭を顧みない行動を取った。   さらに詳しくみる:療所を手伝わせたこともあったが,客に対す・・・
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原告側の請求内容 ①妻との離婚
②長女の親権を夫に
勝訴・敗訴 一部勝訴
予想裁判費用
(弁護士費用)
400,000円~600,000円
証拠 1.住民票
・浮気相手と同居していることを証明するもの
2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書
・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの
3.写真、録音テープ、ビデオテープ
・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など
4.探偵社等の調査報告書
・相手の浮気を証明できるもの
5.クレジットカードの利用明細・領収書
・飲食店・ホテルなどの利用記録など
6.パソコン・携帯電話のメール、手紙
・浮気相手とのやり取りを証明できるもの
審査日 第一審 東京地方裁判所判決/平成15年(タ)第968号
第二審 なし
第三審 なし

上部の「夫と妻の性格、相いれない考え方による結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例

事例要約 この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。
1.結婚
夫と妻は平成9年9月11日に婚姻の届け出を出しました。夫は医師であり、妻は専業主婦で家事と二人の男の子の育児を担当していました。
2.夫の価値観
夫は両親の尊重や生活費などの倹約を重要視する考えであり、常日頃からそのことを妻に対して最大限努力するよう求めていました。妻がそれに沿う行動をしないと者を投げたりしたため妻は精神的に疲弊していました。
3.妻の発病
平成13年11月頃妻は過喚起症候群の疑いのある症状を呈し夫に応急処置してもらいました。平成14年1月と15年5月にも同様の症状を発症したため、妻は某カウンセリングセンターに相談したところ、夫と共にカウンセリングを受けるように勧められたため、その旨夫に伝えましたが夫は応じませんでした。平成15年6月に発症した際は、夫から某大学病院の心療内科に一緒に行こうと言われましたが妻が応じなかったので、それなら実家に帰ったらどうかと提案し妻はそれを受け入れ、二人の子供と共に実家に里帰りしました。以後夫婦は別居生活となりました。
4.出会い系サイト
そのころ妻は出会い系サイトで知り合った男性と知り合い実際に会っています。
5.別居後の生活
夫はその後実家を訪れ、その際妻の父から妻が傷ついているので実家で子供たちと共に預かることを申し渡されました。その点、夫も了承しています。また、再度訪れた時には妻が傷ついていることの原因について話し合いましたが、話はまとまりませんでした。その後妻は某病院に通院し、治療した結果、改善の方向が見られました。
6. 夫が当判例の裁判を起こす
7. 両当事者の年収について
夫の年収は900万 妻の年収は300万です。
判例要約 1.妻の浮気について
単に出会い系サイトで異性と知り合ったと言うだけでは浮気・不倫とは言えないでしょう。具体的な証拠がもっと必要です。
2.結婚相手を扶助する義務について
夫も妻もお互いに協力し相手を扶助する義務を放棄したとは言えず、夫は妻が実家に戻ることを自ら勧めていることから、妻が夫を扶助する義務を放棄したとは認められないですし、夫も自ら妻の実家を訪れていることから、夫が妻を扶助する義務を放棄したとは認められないからです。
3.妻の浪費癖について
夫が倹約を重視する考え方なので、妻に浪費癖があるかどうか問題となりますが、各種の証拠によれば、常識を超えた浪費が行われたと認められるような証拠はありません。
上記でいう夫の考え方に妻が耐えきれず各種症状を発症したという事実に基づけば、結婚生活をこれ以上継続しがたい重大な理由があると言えます。
5.子供の親権について
子供の親権については①子供たちが現状で安定している②妻の精神状態も安定している③子供が生まれて以来妻と一緒にいた時間が長いうえに主な育児を妻が行っていた④子供がまだ幼少である等の点を考慮すると妻が親権を持つべきでしょう。また、養育費については夫は妻に対して月6万支払うべきです。
7.慰謝料について
確かに夫は妻に倹約を求めるあまり物を投げる等の行為に及びましたが、これをもって直ちに慰謝料の請求の根拠となるとは言えません。それに加え、妻が病気になった時には応急処置を施したり、心療内科への同行を申し出るなどの配慮を見せていることからすれば、夫がやったことが不法な行為とはいえません。したがって慰謝料は認められません。

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