「不相応」に関する離婚事例・判例
「不相応」に関する事例:「長期間の別居による結婚生活の破綻」
「不相応」に関する事例:「1度目の裁判では認められなかった離婚請求が2度目の裁判により認められた判例」
キーポイント | この事件のキーポイントは夫と妻の間の夫婦関係に結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由があるかどうかにあります。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは夫(原告)で、裁判を起こされたのは妻(被告)です。 1結婚 夫と妻は昭和52年2月7日に結婚しました。 二人の間には長男の太郎(仮名)と長女の花子(仮名)がいます。 2夫と妻の夫婦仲 夫と妻は夫婦仲の良いほうではありませんでしたが、一応は通常の夫婦関係を続けてきました。しかし、口げんか等が絶えず夫が妻に対して暴力をふるうこともありました。 3外国生活 平成元年に夫はトルコのイスタンブールに転勤になり、最初の1年間は単身赴任をしていました。平成2年から平成6年までは妻と子供達もイスタンブールに行き、4人で外国生活を送りました。その後夫はヨルダンに赴任し、単身赴任をするなど、外国生活が続きました。妻とは平成8年1月に2人でイスラエルで生活を送ったこともありましたが、すぐ帰国してしまいました。 4夫が離婚調停を申し立てる 夫は事前に妻との間で話し合いや離婚の申し入れをすることなく、弁護士に頼んで離婚調停を申し立てましたが話し合いは整いませんでした。 5夫が離婚を求める裁判を起こす(1回目) 夫はその後妻との離婚を求める裁判を起こしました。 妻との婚姻関係について、平成12年1月14日裁判所は以下の判断を下し、夫からの離婚の請求を認めませんでした。 ① 夫と妻は夫婦仲の良い方ではなかったものの、そのような喧嘩は通常の夫婦間にもみられるため、二人が結婚生活を続けていくのが困難とまでは認められず、結婚生活をこれ以上継続できない重大な理由があるとは言えない。 ② 別居状態が続いているといってもそれは夫の海外勤務によるものにすぎないと思われるため、2人が夫婦としての協力関係が維持できない状況にまで陥っているとは言えない。 ③ 夫の態度や夫が生活費の送金を中止したことなど、夫と妻の不仲には夫に多くの原因があるため、もし夫と妻との離婚を認めた場合、妻の社会的・経済的事情を考えると、妻が過酷な状況におかれてしまう。 6夫が妻とのやり直しを試みる 裁判の時に妻は夫にまだ愛情があると言っていたため、夫は平成13年9月、平成14年2月の2回に渡り、妻とやり直そうと思い勤務地のイスラエルでの同居を持ちかけました。しかし、イスラエルがテロの直後であり危険であることと大学生の花子との関係もあり、妻はすぐには行くことはできないと返事をしました。 7夫がリストラに遭い、貿易会社を経営する 夫は勤務先の業績悪化のためリストラされてしまいました。その後貿易会社を設立しましたが、経営が思うようにいかず金銭的にもとても苦しくなりました。 しかし、妻はこのような夫の状況の変化に応じた夫への協力や配慮をしませんでした。 8妻の気持ち 妻は自分に非はなく、夫が自分に対して離婚の請求をすることをやめてくれれば夫婦としてやっていけると考えていました。そして、夫の気持ちが変わることを願ってじっと待っていようと考えていました。 9夫が離婚を求める裁判を起こす(2回目) 夫は妻に対する愛情はなく、また妻からの愛情を感じておらず、妻は夫に対して経済的な繋がりを求めているだけだと主張しました。 そして、妻とは夫がイスラエルに赴任してから8年以上別居状態が続いていて、これは自分のせいだけで起こった状況ではないとして平成15年に再び離婚を求める裁判を起こしました。 |
判例要約 | 1夫と妻の夫婦関係に回復の可能性はない 妻が「夫が態度や考えを変えさえすれば、夫婦関係はより円満になる」と主張するのは、現実性がなく、むしろそうした妻の夫に対する無理解、夫を理解して行動することができないことが夫を失望させていて、夫と妻の結婚生活は長期間の別居(遅くとも平成10年7月から6年以上)により既に破綻し、回復の見込みもなく結婚生活をこれ以上継続できない重大な理由があると裁判所は判断しています。 2離婚の原因は夫だけにあるわけではない 夫と妻の結婚生活は長期間の別居を続けているという事実がある以上、夫だけに責任があるとは言えません。離婚の結果、妻が過酷な状況に追いやられてしまうといえる具体的な証拠はないと裁判所は判断し、両当事者の離婚を認めました。 |
原文 | 主 文 1 原告と被告を離婚する。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨 第2 事案の概要 1 前提事実 (1)原告(昭和26年○月○○日生)と被告(昭和26年○月○○日生)は、昭和52年2月7日に婚姻の届出をした夫婦であり、両者の間には、長男A(昭和52年○月○○日生。以下「A」という。)及び長女B(昭和57年○月○日生。以下「B」という。)の2人の子供がいる。(甲1) (2)原告は、被告に対し、平成10年7月に夫婦関係調整調停事件を申し立てた(以下「前調停事件」という。)後、民法770条1項5号を根拠に離婚請求訴訟を提起した(当庁平成10年(タ)第571号離婚請求事件)が請求棄却の判決(以下「前訴第一審判決」という。)を受け、これに対し控訴し(東京高等裁判所平成11年(ネ)第3824号離婚請求控訴事件。上記離婚請求事件と併せて、「前訴」という。)、平成12年1月24日控訴棄却の判決(以下「前訴控訴審判決」という。)を受けた。前訴控訴審判決は確定しているところ、前訴控訴審判決の口頭弁論終結時は、平成11年12月13日である。(甲2、甲3、弁論の全趣旨) 2 争点 本件の争点は、前訴同様、原告と被告との間の夫婦関係において、婚姻を継続し難い重大な事由の存在が認められるか、及び、原告の同訴訟における離婚請求が信義誠実の原則に照らして許されるかであり、前訴控訴審判決の口頭弁論終結時以降事情の変更があるか否かである。 3 原告の主張 (1)原告と被告は、結婚当初から良好な状態とはいえず、昭和57年に長女が誕生したころには気持ちが冷め切ってしまい、一時別居状態となった際には、被告の兄の仲介により、冷却期間を置いて改善に努力したこともあったが、夫婦喧嘩が絶えなかった。原告が平成8年6月からイスラエルに赴任した際、被告は原告に帯同可能な状態にあったにもかかわらず、東京に残り、夫婦としての生活を放棄したものであり、この別居生活中、被告が原告を訪れたのは子供の休みを利用しての3回だけであり、滞在中も寝室は別にしていた。被告のイスラエル滞在中に原告が日本に出張することとなった際、被告は、原告がローンを組んで取得した自宅マンションの鍵を渡さず、同マンションへの立ち入りを拒否した。(以上、前訴における主張と概ね同じ。) (2)原告には、被告に対する愛情はなく、被告からの愛情を感じていない。被告は原告に対し経済的繋がりの継続を求めているに過ぎない。 前訴控訴審判決の後、原告は、平成14年6月、日本に帰国し、長年勤務していた商社を退職し、イスラエルとオランダに設立した貿易会社を経営しているが、原告と被告の別居生活は続いており、双方の代理人弁護士を通じて主に金銭面での事務的な連絡をとるほかは、連絡を絶った状態にあり、A及びBは成人し、特にAは既に就職し独立した生活を営むに至っている。 原告と被告の婚姻関係は、原告がイスラエルに赴任した平成8年6月に完全に破綻し、その別居期間は、上記赴任時期からは8年以上、前訴に先立って調停事件を申立てた平成10年7月からも6年以上続いており、この断絶状態は、原告が一方的に作出したものではない。 原告と被告の現在の状態からすれば、婚姻を継続し難い重大な事由があり、原告の離婚請求は、被告に対し、精神的、社会的及び経済的に苦痛を与えるものではなく、信義誠実の原則にも反しない。 4 被告の主張 (1)被告は、原告が家庭内 さらに詳しくみる:申立てた平成10年7月からも6年以上続い・・・ |
関連キーワード | 別居,婚姻関係,愛情,信義則違反,精神的結合 |
原告側の請求内容 | ①妻との離婚 |
勝訴・敗訴 | 全面勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
400,000円~600,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成15年(タ)第885号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「長期間の別居による結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この事件は夫(原告)が妻(被告)に対して起こした裁判です。 1 夫婦の結婚 夫と妻とは、平成3年2月13日に婚姻の届出をした。 また、両者間には、長女の長子(仮名)(平成3年○○月○○日生まれ)が居ます。 2 引っ越し 妻は結婚当初、世田谷区のアパートに住んでいたが、平成5年春ころ夫の勤務するC株式会社の本社が移転するに伴い、埼玉県越谷市に転居しました。 3 妻の結婚生活の態度の変化 妻は、都会志向・高級志向など、全般に外見を気にする傾向が強かったため、夫との価値観の違いから、越谷市への転居後は、しばしば不満を爆発させ、興奮状態が続いて、夫に包丁を突きつけたり、子供に当たるなどのことがあり、日常的にもこうしたあてつけやいやがらせなどの行為や、態度が続いていました。 なお、夫との性生活は、長子の誕生後はなくなっていました。 そこで、夫は、平成5年9月には高収入を求めて株式会社ソニー生命に転職したが、結果的には収入が減ってしまいました。 また、平成6年初めころに夫婦は世田谷区に転居したが、家賃が高く、さらに、妻が長子を有名私立幼稚園に入れることに固執した(平成7年4月入園)ことなどから、夫は借金をしてこれに応えざるをえませんでした。妻の夫に対する前記のような態度は全く改善されませんでした。 3 夫婦の別居 夫は、平成7年7月にC株式会社に再入社し、これとともに新潟県長岡市に単身赴任し、この後事実上妻と別居するようになりました。 この後、妻は夫に対し、夫の手取りを上回る生活費(月額44万2000円)を要求し、夫は、やむなく借金をして、月額40万円を支払っていました。 妻は、同年11月には東京家裁に夫婦関係調整の調停の申立てをしたが、その内容は実際には婚姻費用請求であり、夫の離婚要請には応じようとしませんでした。 4 夫の浮気 こうした状況の中、精神的に参っていた夫は、平成7年末日ころ部下の貞子(仮名)と関係を持つようになりましたが、妻が双方に慰謝料の請求をしたことなどから、平成8年6月ころには貞子と別れました。 5 妻が夫の会社に乗り込む 平成8年秋、本訴の弁護士に相談した夫は、その後、月々家賃分14万2000円のほか15万円の合計29万2000円を妻に送金することとしました。そのため、夫は、残りの7~8万円で生活をしていました。 これに対し、妻は平成9年1月に、夫の勤務先を訪れ、経理部長に対し、夫の給与を自己の口座に振り込むよう要求し、断られると、夫と不倫相手の貞子の前記の浮気について告げ、会社としての処罰を要求したため、夫は解雇されました。 6 夫の再就職と夫婦のその後 夫は郷里に戻り、株式会社Tに就職しました。この間数ヶ月は、夫は妻に生活費を送金することができませんでした。 すると、妻は同年4月ころに、東京家裁に婚姻費用分担の調停の申立てをしました。しかし、この調停は同年5月には不調となりました。 平成10年12月には婚姻費用分担についての審判があり、その後、夫はこれに基づいた支払をしていますが、夫が妻に全く送金をしなかった期間は、ほぼ前記平成9年初めころの数ヶ月に限られています。 9 長女の家出 長子は妻と同居していましたが、小学校低学年のころに家出をし、児童相談センター等の保護施設にしばらくの間保護されたことが二度ほどありました。 10 夫婦の現在 夫は平成14年春ころには転職し、現在は東京に居住しています。 妻は、現在は館山市に居住し、平成15年6月以降は就職して、手取りで月給15万円程度、ボーナス年額30万円程度の収入を得ています。 |
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判例要約 | 1 夫の妻に対する離婚請求を認める 調停において、夫が妻に離婚を求めた平成7年末日ころには結婚生活が破綻していたものと認められます。 妻は夫との結婚生活を継続したいとの意向が強いようですが、夫は全くそれを望んでおらず、現実的には困難であると考えられます。 2 妻の、夫が離婚原因を作ったとの主張は認めない 結婚生活の破綻の原因ですが、これについては、収入に不相応な生活を強く求め、また、夫に対しての不満に基づくいやがらせや、夫へのあてつけ的な行為を続け、意思を通じ合わせようとしなかった妻に主として責任があると認められます。 また、夫が不倫相手の貞子と不貞関係にあったことは認められるけれども、これは妻の夫婦関係がほぼ破綻に至った時期の出来事と認められます。 よって、離婚の原因は妻の行動による結婚生活の破綻と考えられ、夫にも妻のそれと同等かそれに近い責任があるとみることはできないと、裁判所は判断しました。 3 長女の長子の親権は妻と認める。 妻と同居していた長子が、小学校低学年のころに家出し、児童相談センター等の保護施設にしばらくの間保護されたことが二度ほどありましたが、その件はかなり昔のことであり、また、夫は妻との別居以来長らく長子に会っていないことなどを考慮すると、長女の親権者を、とりあえずは妻と認めるのが相当であると考えられます。 |
「不相応」に関するネット上の情報
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