「裁判所に夫婦関係調整」に関する離婚事例・判例
「裁判所に夫婦関係調整」に関する事例:「夫が家を出て、生活費を入れなくなったことによる夫婦生活の破綻」
「裁判所に夫婦関係調整」に関する事例:「夫婦間の結婚生活は破綻しており、その原因の夫から慰謝料支払いと財産分与が認められた事例」
キーポイント | 離婚が認められるためには、結婚生活をこれ以上継続することができない重大な理由が当事者の間になければなりません。 夫婦間での、結婚生活がどのように破綻に至ったかがポイントとなります。 |
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事例要約 | この事件は妻(原告)が夫(被告)に対して起こした裁判です。 1 結婚 妻と夫は、当時、夫の父親が経営するA株式会社にて知り合い、昭和49年7月9日に婚姻の届出をしました。 2 離婚 夫と妻との間には、長男の太郎(仮名)及び長女の長子(仮名)が出生しましたが、妻と夫は昭和56年11月27日協議離婚しました。 3 再婚 妻と夫は、昭和60年2月5日に再び婚姻の届出をして同居しました。 妻は主婦として家事と育児に専念し、長女は平成14年1月11日に、長男は同年6月30日に結婚しました。 4 別居 夫婦ら家族は、東京都練馬区(以下略)の借上社宅に住んでいましたが、夫は長女が成人した後、上記社宅を出て東京都中野区(以下略)に移り住みました。 さらに、平成14年5月15日には、東京都中野区(以下略)の別紙物件目録記載の建物(以下「本件マンション」という。)を購入して転居しました。 5 その後の夫婦関係 夫は別居直後は妻に対し、生活費として月額30万円を送金していたが、社宅の家賃の負担をしないと主張し、妻に対して社宅からの退去を強く求めました。 その為、妻は母親の実家に移り住むこととなりました。 また、夫は、平成14年10月ころからは妻に対する生活費の送金をしなくなりました。 6 夫婦関係調停申立 そこで、妻は東京家庭裁判所に夫婦関係調整と婚姻費用分担の各調停を申し立てましたが、夫はその期日に一度も出席せず、夫婦関係調停申立事件は不成立となり、婚姻費用分担調停申立事件は取り下げにより終了しました。 7 妻が裁判を起こす 妻が、夫に対して当判例の裁判を起こしました。 |
判例要約 | 1 離婚の主な原因は夫にある。 夫は、太郎と長子が成人すると、社宅を出て暮らし始め、妻に対しては、生活費を送らず社宅からの退去を執拗に求めるようになりました。 やむなく妻は、社宅を出て母親の家で同居せざるを得なくなりました。 その後、妻は東京家庭裁判所に夫婦関係の調整と、婚姻費用分担の調停を申し立て、本件訴訟を行ったが、夫は一度も出頭せず、裁判上の書類も提出しませんでした。 夫は悪意を持って妻を捨てたものと認められ、夫の行為によって結婚生活が破綻するに至ったものであると裁判所は認めました。 2 妻の慰謝料請求を一部認める 離婚の原因は夫にあることから、精神的苦痛に対して責任を取る義務があるとして、その慰謝料は500万円とするのが相当であると裁判所は判断しました。 3 妻への財産分与を一部認める 妻がこれまで主婦として生活し、既に年齢が50歳を超えていることなどを考慮すれば、財産分与においては、離婚後の生活をも考慮すべきであり、妻の年収等も考え合わせれば、妻に1,000万円を支払うのが相当であると裁判所は判断しました。 |
原文 | 主 文 1 原告と被告とを離婚する。 2 被告は,原告に対し,金1500万円及びこれに対するこの裁判の確定した日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文1項と同旨 2 被告は,原告に対し,金3000万円及びこれに対する平成15年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の不動産につき,財産分与を原因とする持分2分の1の共有持分移転登記手続をせよ。 第2 事案の概要 原告と被告とは,昭和49年7月9日に婚姻の届出をし,昭和56年11月27日協議離婚したが,昭和60年2月5日に再び婚姻の届出をした夫婦である(甲1,2)。 原告は,離婚原因として,(1)被告は,最初の婚姻以来不貞行為が絶えないこと,(2)被告は,長男及び長女が成人し,原告による子供の養育が必要でなくなると,それまで一家が同居していた社宅を出て暮らし,原告に対しては,生活費を送らず,かえって社宅からの退去を執拗に求めたため,やむなく原告は社宅を出て母親の家で同居せざるを得なくなったとして,民法770条1項1号及び2号所定の各離婚事由がある旨主張し,被告との離婚を求めると共に,慰謝料1000万円及び財産分与(2000万円と不動産の持分譲渡)を求めた。 被告は,適式な呼出を受けながら,本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しなかった。 第3 判断 1 離婚及び慰謝料請求について (1)証拠(甲1ないし5,甲7)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア 原告は,昭和26年○○月○日生まれの主婦であり,被告は,昭和25年○月○日生まれで,A株式会社(以下「A」という。)の代表取締役をしている者である。原告と被告とは,被告の父親が経営するAに原告が勤務していたとき,同じくAに勤務していた被告と知り合い,昭和49年7月9日に婚姻の届出をした。 イ 原告と被告との間には,長男B(昭和50年○○月○○日生)及び長女C(昭和53年○月○○日生)が出生したが,原告と被告とは,昭和56年11月27日協議離婚した。しかし,その後,原告と被告とは,昭和60年2月5日に再び婚姻の届出をして同居し,原告は主婦として家事及び育児に専念し,長女は平成14年1月11日に,長男は同年6月30日に婚姻した。 ウ 原被告ら家族は,東京都練馬区(以下略)の借上社宅に住んでいたが,被告は,長女が成人した後,上記社宅を出て東京都中野区(以下略)に移り住み,さらに,平成14年5月15日,東京都中野区(以下略)の別紙物件目録記載の建物(以下「本件マンション」という。)を購入して転居した。 エ 被告は,別居直後は原告に対し,生活費として月額30万円を送金していたが,社宅の家賃の負担をしないと主張し,原告に対して社宅からの退去を強く求めたため,原告は母親の実家に移り住むこととなった。また,被告は,平成14年10月ころからは原告に対する生活費の送金をしなくなった。 オ そこで,原告は,東京家庭裁判所に夫婦関係調整及び婚姻費用分担の各調停を申し立てたが,被告はその期日に一度も出席せず,夫婦関係調停申立事件は不成立となり,婚姻費用分担調停申立事件は取り下げにより終了した。また,本件訴訟の口 さらに詳しくみる:の実家に移り住むこととなった。また,被告・・・ |
関連キーワード | 財産分与,精神的苦痛,婚姻費用請求,夫婦関係調整,口頭弁論期日 |
原告側の請求内容 | ①妻と夫の離婚 ②妻に対する3,000万円及びこれに対する平成15年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金利 ③妻に対する、別紙物件目録記載の不動産に関する財産分与 |
勝訴・敗訴 | 一部勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
1,900,000円~2,100,000円 |
証拠 | 1.住民票 ・浮気相手と同居していることを証明するもの 2.戸籍謄本・子供のDNA鑑定書 ・浮気相手との間に子供がいる場合は、それを証明するもの 3.写真、録音テープ、ビデオテープ ・例えばホテル・浮気相手の自宅への出入り写真など 4.探偵社等の調査報告書 ・相手の浮気を証明できるもの 5.クレジットカードの利用明細・領収書 ・飲食店・ホテルなどの利用記録など 6.パソコン・携帯電話のメール、手紙 ・浮気相手とのやり取りを証明できるもの |
審査日 | 第一審 東京地方裁判所判決/平成15年(タ)第587号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「夫が家を出て、生活費を入れなくなったことによる夫婦生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判を起こしたのは妻(原告)であり、裁判を起こされたのは、その夫(被告)とその浮気相手(中島・仮名)です。 1結婚 当事件の当事者である、妻は、夫と昭和56年2月13日、婚姻の届け出をし夫婦となりました。 2夫の暴力 妻と夫は平成7年5月30日、口論となり、夫は妻に暴力を振るい、左大腿挫傷の障害を負わせてしまい、妻は子供2人を連れて夫の実家に避難しました。 3話し合い 平成7年5月31日、妻と夫は夫の両親と共に話し合いを行いました。 4妻が調停を起こす 平成7年6月9日、妻は夫に対し、東京家庭裁判所に夫婦関係を円満にするための調停を申し立てましたが、夫は調停には来ずに終了しました。 5別居の合意 平成7年6月29日、妻・夫・妻の両親・夫の両親・夫の経営する会社の顧問弁護士で話し合いを行いました。 その結果、3年後に離婚することを前提とした「妻と夫の別居条件」という書面を作成し、夫は別居中の妻と子供たちのために妻の名義でマンションを購入し、 妻に対し生活費として月額30万円と、国民健康保険料等の支払い金額の9万1000円、そのほか30万円を支払うこと、3年後の離婚は状況の変化に応じて改めて協議するという内容の合意をしました。 6交際女性 平成7年9月4日、中島(仮名)は夫が経営する会社にアルバイトとして採用され、一ヶ月後に正式な従業員として採用されました。 中島は当時結婚しており、子供が2人いましたが、平成9年2月26日子供の親権者を当時結婚していた夫として協議離婚をしました。 7夫が離婚訴訟を起こす 平成7年末ころ、夫は3年後の離婚に備えて離婚届に押印してこれを第三者に預けることを提案しましたが、妻が拒否したため、 夫は妻に対して、離婚を請求する裁判を起こしました。 8夫と中島の交際 夫と中島は平成7年10月ころから交際をはじめ、平成8年6月29日ころから夫の家で同居をはじめました。 9子の家庭内暴力 妻と夫との子は妻と共にマンションに転居した後、家庭内暴力を振るうようになり、高等学校への登校を拒否するなどして、高等学校を中途退学しました。 10裁判離婚 平成11年11月9日妻と夫の離婚と、子供の親権は妻にあるとの判決がでました。 しかし夫と中島の交際は、夫と妻が別居の合意をした後に生じたとして、夫には離婚原因はないとしました。 妻はこれに納得がいかなかったので控訴しましたが、裁判を行った結果、夫と妻が別居に至る経過や別居後の態度を考えると、交際が離婚の原因とまではならないと再び裁判所は判断をしました。 妻はこれにも納得がいかず上告しましたが、最高裁判所はこれを却下し、妻と夫は離婚しました。 11妻が慰謝料を請求する裁判を起こす 妻は平成16年12月31日、中島に対して慰謝料請求の裁判を起こしました。 妻は平成17年1月16日、夫に対して慰謝料請求の裁判を起こしました。 |
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判例要約 | 1夫と中島の交際は離婚原因ではない 裁判所は夫と中島が交際を始めた時期については証拠が乏しく、 平成7年9月以前に交際をしていたという事実や、面識があったという事実を認めることはできないとしています。 また、「妻と夫の別居条件」という書面を作成した、別居の合意は、 子供たちのために離婚手続きを3年間行わないこととするものの、実質的には婚姻生活を終わらせる内容の合意であったことから、 すでに上記の合意を行った平成7年6月29日の時点においては、婚姻生活は修復不能な状態であったと認められました。 このことから、妻と夫の離婚の原因が、中島との交際によるものではないと判断され、妻が請求していた中島からの慰謝料は認められませんでした。 2夫の暴力は離婚原因ではない 証拠によると、平成5年ころにも夫は妻に対し暴力を負わせたことがあると認められ、以前から暴力が繰り返されていたにもかかわらず 離婚には至っていませんでした。また、以前から裁判を起こし積極的に離婚を求めていたのは夫であり、その際に妻は暴力を理由に離婚を求めていません。 よって、離婚原因は夫の暴力自体にあったとはいえません。 また、夫が婚姻生活を続ける意思を失ったのは、夫婦間の価値観の相違なども原因として考えられますので、夫に一方的な責任があったとはいえません。 しかし、暴力は正当化できず、離婚の責任を考えたときに、より重い責任があると考えられます。 よって、夫は妻に対して損害を賠償する責任があると判断されました。 3夫は妻に対し離婚による精神的苦痛を慰謝するために150万円支払うこと 子の家庭内暴力は、夫婦間の紛争に巻き込まれたことが原因と考えられるため、妻と夫は子の精神状態に配慮するべき義務があったといえます。 しかし、家庭内暴力によって生じた妻の精神的苦痛について夫が賠償する義務があるとはいえません。 妻が離婚後に、子供たちの親権者として単独で子供の養育をするべき義務を負うことになったことなどを総合的に考慮すると、 離婚によって被った精神的苦痛をいう損害を賠償するために夫が妻に支払うべき金額は150万円が相当となりました。 |
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