「固有財産」に関する離婚事例・判例
「固有財産」に関する事例:「価値観の違いによる結婚生活の破綻」
「固有財産」に関する事例:「夫の暴力を多少なりとも認定して慰謝料請求を認めた事例」
キーポイント | 直接的な離婚原因として、夫婦間のコミュニケーションの不足により、価値観の相違を埋めることができなかったことを裁判所が認定していますが、そこに夫の暴力が若干あったとされる事例です。暴力の存在は通常であればクローズアップされるところですが、今回の事例では必ずしもメインテーマとはなっていません。 |
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事例要約 | この裁判を起こしたのは妻(原告)で、裁判を起こされたのは夫(被告)です。 1 夫婦の婚姻 夫婦は平成11年5月22日に婚姻しました。 2 結納 妻は夫の母名義で留袖を約300万円で購入しましたが、その資金は自分が母親からもらったものでした。 3 価値観の違い 夫は妻の考え方が幼すぎて社会性がないと感じており、妻は夫が自分に価値観を押し付け、自分が何を言っても聞き入れられないと感じていました。また、夫が妻より母親を優先する態度に不満がありました。夫の収入は年収で1,000万以上ありましたが、妻には毎月当初20万、そののち22万を渡す限りでした。そのことについて妻は夫のことをケチだと思っていました。 4 夫婦間での喧嘩 平成12年8月9日に口論となった時に、夫は妻の体を掴んで壁に打ち付けるという行動に出たため、妻は頭を壁にぶつけてしまいました。妻はそのことで大変ショックを受けましたが、その後夫がそのことについて真摯に謝罪したので、妻としてはことのことを理由として離婚を考えるようなことはありませんでした。 5 別居 妻の父親が危篤となったため、妻は平成13年1月に実家に帰りました。その時すでに妻は夫との結婚生活の継続に不安を感じており、同年2月にいったん自宅に戻った時も、夫や夫の母親が自分に対して否定的に感じられたため、再び実家に戻ってしまいました。 6 夫の対応 夫としてはその当時は離婚するつもりはなく、妻あての手紙を書いたり、妻の実家を訪問したり努力しましたが、それが報われないと感じるようになると妻に対する怒りを覚えるようになりました。そして生活費を一切渡さなくなりました。 7 調停の申立 妻は家庭裁判所に2回調停の申し立てをしましたが、1回目は不成立に終わり、2回目は婚姻費用として月85,000円ずつ払うという内容の調停が成立しました。 |
判例要約 | 1 離婚原因について 離婚の原因に関しては、コミュニケーションの不足によって、生活一般についてのお互いの価値観の相違を埋めることができなかったためと考えられます。暴力が一度だけあったことは認められますが、証拠も不十分であるうえ夫も十分反省し、妻がその謝罪を受け入れていることを考えると直接の原因ではないでしょう。 2 慰謝料について 夫の暴力がまったく問題ない程度であるとはいえないので、夫は妻に20万円が支払うのが相当でしょう。一方夫の慰謝料請求は認めるべきではありません。なぜなら婚姻関係の改善のために話し合いをするべきなのに、生活費を渡さないという実力行使に出てしまっては婚姻関係修復に向けての努力をたってしまったとしか評価できないからです。 3 親権について 今現在子供は妻の下で養育されていて、その状況に問題があるとする証拠はないのでそのままでよいでしょう。 4 養育費について 調停で定められた通りでよいでしょう。 |
原文 | 主 文 1 原告(反訴被告)と被告(反訴原告)とを離婚する。 2 原告(反訴被告)と被告(反訴原告)との間の長女・A(平成12年○○月○日生)の親権者を原告(反訴被告)と定める。 3 被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、本判決確定の日の属する月から長女・Aが成人に達する月まで、毎月末日限り、8万5000円を支払え。 4 被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、20万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告(反訴被告)及び被告(反訴被告)のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを8分し、その3を原告(反訴被告)の負担とし、その余を被告(反訴原告)の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告(反訴被告) (1)原告(反訴被告)と被告(反訴原告)とを離婚する。 (2)原告(反訴被告)と被告(反訴原告)との間の長女・A(平成12年○○月○日生)の親権者を原告(反訴被告)と定める。 (3)被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、本判決確定の日の翌日から長女・Aが成人に達するまでの間、毎月末日限り、8万5000円を支払え。 (4)被告(反訴原告)は、原告(反訴被告)に対し、798万1412円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告(反訴原告) (1)被告(反訴原告)と原告(反訴被告)とを離婚する。 (2)被告(反訴原告)と原告(反訴被告)との間の長女・Aの親権者を被告(反訴原告)と定める。 (3)原告(反訴被告)は、被告(反訴原告)に対し、700万円及びこれに対する平成15年4月16日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 当事者等 原告(反訴被告、昭和45年○月○日生、以下「原告」という。)と被告(反訴原告、昭和22年○月○○日生、以下「被告」という。)は、平成11年5月22日に婚姻した夫婦であり、両者の間には、長女・A(平成12年○○月○日生、以下「A」という。)がいる。 原告と被告は、平成13年2月14日から別居している。 2 原告の主張の要旨 (1)婚姻を継続し難い重大な事由について 被告は、以下のように、原告に対して精神的にも肉体的にも重大な虐待行為を繰り返し、原告を別居のやむなき状態に追い込んだ。 ア 被告の高圧的な態度等 被告は、妻は夫に服従すべきものという考えが強く、原告の反論を許さず、髪型、持ち物、テレビ番組にまで意見を押し付け、原告の友人付き合いまで制限した。また、被告の母や妹夫婦との交流を原告に押し付け、迷信深くしきたりにこだわる姑との交流上の悩みを相談しても、「妻よりも母親が大切」という態度だった。 イ 生活費の一方的押し付け 被告は、会社経営者で年収1000万円以上と思われる多額の収入があるにもかかわらず、原告に収入の全容を知らせず、毎月20万円(長女誕生後は22万円)を生活費として渡すだけであり、原告は生活費の赤字分を自分の貯金から補填しなければならなかったが、これについて相談しても、被告は全く取り合わなかった。 ウ 妊娠後の非協力 被告は、原告の妊娠を喜ばず、原告が妊娠初期に医師から1か月ほどの安静を指示されると、障害児が生まれるおそれがあると誤解したのか、被告の母親とともに さらに詳しくみる:も、被告は全く取り合わなかった。 ・・・ |
関連キーワード | 価値観の違い,慰謝料,親権,暴力,養育費 |
原告側の請求内容 | 1 妻の請求 ①夫との離婚 ②慰謝料の支払い ③親権 ④養育費 2 夫の請求 ①妻との離婚 ②慰謝料の支払い ③親権 |
勝訴・敗訴 | 1 一部勝訴 2 一部勝訴 |
予想裁判費用 (弁護士費用) |
616,000円~1,216,000円 |
証拠 | 1 暴力があったことを証明できるもの 傷跡の写真・医師の診断書・録音・録画 2 離婚調停を申し立てたことを証明するもの 裁判所の証明書(調停調書) 3 収入証明書 源泉徴収票など 4 離婚の意思を表明したことを証明する書類の控え 手紙のコピー・郵便局の証明書 |
審査日 | 第一審 平成14年(タ)第910号 平成15年(タ)第273号 第二審 なし 第三審 なし |
上部の「価値観の違いによる結婚生活の破綻」に関連する離婚法律問題・離婚判例
事例要約 | この裁判は夫(原告)がその妻(被告)に対して離婚を求め、それに対して妻が夫に離婚を求めたとともに、離婚に伴う財産分与と慰謝料を求めたものです。 1夫婦の職業 夫は精神科の医師をしており、現在は開業をしています。妻は客室乗務員として働いています。 2夫と妻の出会い 夫と妻は平成6年11月に知り合い、平成7年2月ころに交際を始めました。平成10年5月ころ、結婚を前提に将来自宅を持つことを話し合い、二人で住居を探し始めました。 3夫の浮気疑惑… 夫は平成12年ころから同僚の佐藤(仮名)に対して恋愛感情を抱いている趣旨のメールを複数送り、佐藤からもそれに応じるかのような趣旨のメールが送られるなどのやりとりが始まりました。 4夫と妻の結婚 夫と妻は平成12年8月4日に婚姻の届け出をして夫婦になりました。 5浮気相手の転居 佐藤は平成13年3月末ころ、福岡県北九州市に転居しました。そのころから夫は妻に内緒で福岡に渡航するようになりました。しかし、表面上は円満な関係が保たれていました。 6妻が夫に子供が欲しいと告げる・・・ 夫と妻は結婚後、一つのベットで寝ていましたが、夫が性交渉を拒絶するようになり、平成14年の秋以降は全く性交渉を行わなくなっていました。 妻は出産の関係上年齢の問題があったため、子供が欲しいと夫に話しました。 しかし、夫はあいまいな返事をして逃げてしまい、真剣に取り合いませんでした。 7夫の一方的な態度、妻は病気に… 平成15年4月、夫は突然一方的に妻に離婚を迫りました。連日のように離婚を口にするようになり、次第に「離婚しないと裁判する」、などと迫るとともに、妻に対して「お前は痴呆だ」「お前を人格障害の患者としてしか見ない」など異常とも思える発言を繰り返し、その結果妻は急性胃炎と仮面うつ病になってしまいました。 8妻が調停を起こす 妻は平成15年8月7日東京家庭裁判所に対して、婚姻費用の分担を求める調停を起こしました。婚姻費用とは夫婦が生活を行っていく上で必要なお金のことです。裁判所は平成17年1月28日に夫に対して平成15年8月以降の婚姻費用として月額12万円の支払いを命じる判断を出しました。そして、夫は妻に対して、平成15年3月分までの婚姻費用を支払いました。 9夫が妻を相手に裁判を起こす 夫は平成15年8月13日に離婚調停を行いましたが、話し合いが整わなかったため、夫は平成15年12月2日に夫と妻との離婚を求める裁判を起こしました。 10平成18年9月26日、妻が夫に対して裁判を起こす 妻の請求①:夫との離婚 妻は執拗に離婚を求める夫の態度や、夫と佐藤との関係に疑惑を抱き、離婚を求めました。 妻の請求②:財産を分け与えよ 裁判所より夫に対して婚姻費用の支払いの命令が下る平成15年8月以前の未払いの婚姻費用について妻は夫に支払いを求めました。そして、夫との預金や夫が医師免許、博士号などの資格を取得したことは2人の財産と言えると主張し、自分もその財産の分配を受けるべきだと主張しました。 妻の請求③:慰謝料を払え 夫は妻に離婚を同意させるため、さまざまな言葉の暴力による虐待を加えました。そして、精神的な苦痛を妻に与えました。また、浮気と疑われる夫と佐藤との関係により、精神的にも肉体的にも苦痛を被ったとして夫に対して慰謝料を請求しました。 |
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判例要約 | ・夫の請求に対する裁判所の判断 1夫と妻の離婚を認める。 すでに両者の結婚生活は破綻しており、また、上記の事例により、両当事者とも結婚生活の破綻を認めているので、裁判所は両当事者の離婚を認めるという判断をしています。 ・妻の請求に対する裁判所の判断 1夫と妻の離婚を認める。 2財産分与は認めない。 夫と妻の間に、財産であると認められる証拠のある財産がないため、妻の請求は認めないと裁判所は判断しています。 2妻の求めた慰謝料請求を認める 妻は夫が佐藤と浮気をしていたと主張しています。夫は佐藤に恋愛感情を抱いていた時期があることは認められますが浮気をしていたという事実を認めることはできないというのが裁判所の判断です。 しかし、夫は突然一方的に離婚を言い出し、妻に対し異常とも思える発言を執拗に繰り返しました。その結果、妻は急性胃炎と仮面うつ病の疑いとの診断を受けるまでに至りました。また夫は「妻と同居をすれば新聞沙汰になるようなことが起きるかもしれない」といった脅迫的な発言もしています。 夫と妻の婚姻関係が破綻した理由はすべて夫にあるといえるため、夫は慰謝料を払わなければならないというのが裁判所の判断です。 |
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