「留意」に関する事例の判例原文:フランス人の夫の暴力による、結婚生活の破綻
「留意」関する判例の原文を掲載:日本で知り合ったものの、平成一一年九月に・・・
「フランス人の夫の暴力によって結婚生活が破綻したとして、日本人の妻の離婚の請求等を認めた判例」の判例原文:日本で知り合ったものの、平成一一年九月に・・・
| 原文 | 請求訴訟について我が国に国際裁判管轄を認めるべきであるか否かを検討する。 イ 先に認定、判示したとおり、原告は、昭和四八年一一月二六日生まれの日本人であるが、被告は、一九七四年(昭和四九年)五月一五日のフランス人であり、原、被告は、日本で知り合ったものの、平成一一年九月に渡仏し、同年一一月二〇日、パリ第三区区役所に婚姻届けを提出して婚姻し、原告が平成一三年六月二七日に一郎を連れて帰国するまで、フランスにおいて婚姻生活を営んでいた。そして、原告が本訴で婚姻を継続し難い根拠として主張する被告の原告に対する暴行、傷害行為はいずれもフランス国内で発生したものであり、被告は、フランスの裁判所に離婚請求訴訟を提起している事情も認められる。 これらの事情のうち、原告が日本人であること以外の事情は、いずれも応訴の際の被告の保護という観点から考えると、本件訴訟について我が国の国際裁判管轄を肯定することについて、消極事情として考慮せざるを得ない事情というべきである。 ウ しかしながら、先に認定、判示したとおり、証拠上、容易に認定し得る事件に限っても、原告は、被告から度重なる暴行、傷害を受けており、例えば、平成一三年六月一六日の医師の診断結果によれば、原告には、左頬に軽い痣、唇の左内側に〇・五センチメートルの糜爛、顎に一センチメートルの痣、左肩に赤痣、右手首裏側に一センチメートルの痣、左手首に一センチメートルの痣が二つ、左手の甲にいくつもの引っかき傷があったと認められ、その傷害の態様、傷害の部位の数等から判断する限り、その暴行行為等はかなり執拗であると窺われ、また、同年五月八日には、被告が原告の首を絞めた事実も認められる。 原告としては、こうした被告の暴行等により、このまま被告と婚姻生活を継続した場合には、原告や一郎の身体ひいては生命に危害が及ぶものと考え、やむを得ず、乳飲み子であった一郎を連れて日本に帰国し、両親の保護を求めたものと認められ、原告の行動は、その経緯に照らすと合理性があり、原告が日本へ帰国することを余儀なくしたのは、専ら被告のこうした言動にあるというべきである。 エ そもそも、生命、身体の自由、安全を求める権利は、人が人として当然に保有する権利であって、何人もこれを犯すことはできないし、その権利性は、国際人権規約の条項等を指摘するまでもなく、いずれの国においても尊重されるべき普遍的権利であるというべきである。その権利は、正当防衛等特に法が許容した場合以外には犯すことができないのであって、ただ、婚姻関係にあるというだけで、夫から妻への暴行等を許容し得ないことはいうまでもない。そして、広く世界的に制定されているDV防止法の立法趣旨等に鑑みれば、配偶者から暴力行為を受けた他方配偶者は、その制定がない場合においても、人格権に基づき、その接近等を排除する権利を有するものというべきであり(我が国においても、DV防止法制定以前には、配偶者からの暴力を受けた他方配偶者の申立てにより、人格権に基づく接近禁止の仮処分を発令する運用が定着していた。)、訴訟提起、遂行等のために、相手方配偶者と接近することを余儀なくすることが相当でないことはいうまでもない。 そして、《証拠略》によれば、フランス民法二五一条一項は、「共同生活の破綻によって、又は有責事由によって離婚を請求するときは、勧解の試みtentative deconciliationが裁判上の審理の前に義務付けられる。」とし、同法二五二条一項は、「裁判官は、夫婦を勧解しようと務めるときは、その立会いの下に夫婦を合わせる前に、個別に夫婦のそれぞれと個人的に話し合わなければならない。」としている。 したがって、本件で、原告がフランスにおいて離婚を請求しようとする場合、原告の請求する離婚はフランス民法にいう有責事由による離婚であるから、裁判官が勧解の試みを行う必要があり、その際には、当事者の出頭が義務付けられ、その結果、原告は、フランスに入国し、滞在しなければならなくなる。しかし、先に判示した原告が日本へ帰国した経緯、原告の帰国後に調査会社による不審な行動があること等に照らして考えると、原告にフランスに入国し、滞在することを求めることは、原告を被告からの従前同様の暴力等を加えられる危険にさらす可能性を高めるものというべきであって、原告の人格権の保護の要請にそぐわないものというべきである。 そうすると、原告が被告の住所地国であるフランスに離婚請求訴訟を提起することについては、原告の生命、身体が危険にさらされるという事実上の障害があり、被告が原告の首を絞め、絞首のあとを残したこともあるという事実を考えると、その程度は、原告の生命に関わるもので、障害の程度は著しいものというべきである。 オ 被告は本件離婚請求訴訟について我が国に国際裁判管轄を認められた場合、他国での応訴を余儀なくされることになるけれども、原告がフランスにお さらに詳しくみる:いて離婚請求訴訟を提起することについて事・・・ |
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